研究課題/領域番号 |
20K14201
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
孫 怡 立命館大学, 立命館アジア・日本研究機構, 助教 (10794688)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 親子関わり / 食事場面 / 問題行動 / 日中比較 / 母親well-being / 行動観察 / 食事問題行動 / 母親精神健康 / 幼児発達 / 精神健康 / 母子 |
研究開始時の研究の概要 |
幼児の食事場面における親子の関わり方を客観的に観察・分析するため、1~3歳児用の「食事場面用親子関わり行動指標」を開発する。それを用いて,幼児の食事問題行動の原因を解明する。また,親子の関わり行動がどのように親の認知・感情および幼児の発達特徴や気質特性など要因と絡みながら,親子の心身健康に影響を及ぼすか,そのメカニズムを検討する。食事場面の問題行動に対して,有効な対処策と適切な育児支援を提供する。日中比較研究を行うことで,文化要因を検討する。
|
研究実績の概要 |
日本と中国の共同研究者と一緒に,これまで日本と中国の都市部で収集した1~3歳児の親子食事動画データ(各国30組)を用いて,観察・コーディング・分析を行い,安梅ら(2007)による遊び場面用の親子かかわり指標(IRS)を参考にしながら,食事場面に特化した親子関わり行動指標を作成した。食事場面における親子の関わりに関して,安梅ら(2007)が考案した10領域に,養育者側は「食事環境への配慮」,「食事に関する教育」等,子ども側は「食事への認知」,「食事への主体性」等の評価領域を追加した。また,2歳児と3歳児の行動特徴を比較した。それらの分析結果を日本発達心理学会第34回大会にて発表し,意見交換を行った。他の研究者から得られた意見と助言を踏まえ,行動指標の項目内容や構成,評価基準を再検討し,指標の修正を行った。 親の食事に対する認知,食育に関するストレス,幼児の問題行動等について,関連文献を調べた上で,これから行動観察と同時に実施する質問紙調査の項目を作成した。中国の共同研究者と定期的にWeb会議を通じて,行動指標の妥当性や,調査票の日本語版と中国語版の一致性などについて協議を行った。 共同研究者・協力者を介して,日本の子ども保健センターや子ども園および中国の婦幼保健センターや保育園と連絡を取り,これから日本と中国現地で実施する大規模の質問紙調査および行動観察への協力と許可を得た。現在,調査参加者の募集を始めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度も新型コロナウイルス感染症の影響を受けて,予定した家庭訪問や行動観察,およびそれに伴う質問紙調査の実施ができなかった。 日本と中国の渡航規制やロックダウンなど特殊な社会状況により,中国への渡航ができず,中国現地におけるフィールド調査および中国側の研究チームとの共同作業が計画通りに進めることはできなかった。特に,行動指標を分析する際に,親子食事場面の動画データに個人情報がたくさん含まれているため,Webで共同研究者との共有は避ける方針であった。したがって,制限された条件の中で,行動指標の開発はできたものの,指標の有効性と妥当性などについての確認はまだ十分にできていない状況である。 フィールド調査や家庭訪問,現地の専門家との打ち合わせなどを通じて,行動指標の確認・修正・改善作業を行う必要がある。確認作業を踏まえたうえで,大規模な調査を実施していく予定であるため,全体的に遅れている現状である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は当初3年間で完成する計画であったが,コロナ禍の影響により,1年間を延長することにした。2022年の4月末から日本と中国の間の渡航制限が緩和されたため,これからは中国へ渡航し,現地における家庭訪問と行動観察を実施し,現地の専門家と十分なディスカッションを行ったうえで,食事場面に特化した親子関わり行動指標の構成項目を確定していく。そして,日本と中国,両国において,同時に大規模な質問紙調査と行動観察を実施する予定である。 行動観察で得られたデータは本研究で開発された行動指標を用いて評価する。それらの行動データと質問紙データを分析し,食事場面における親子関わりと親子の心身健康との関連について検討していく。 開発された行動指標に基づいて,幼児の食事における特有の問題に対して,それぞれに有効な行動対処策を開発する予定である。また,臨床専門家と連携し,食事問題に困っている親子に適切な行動対処法および包括的な育児支援を提供することを目指す。
|