研究課題/領域番号 |
20K14205
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
森 朱美 (大杉朱美) 福山大学, 人間文化学部, 准教授 (10847817)
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研究期間 (年度) |
2021-02-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 隠匿情報検査(CIT) / ポリグラフ検査 / 情報検出 / アーチファクト / カウンターメジャー / 犯罪捜査 |
研究開始時の研究の概要 |
日本のポリグラフ検査は、隠匿情報検査と呼ばれる情報検出技術を採用し、今日の犯罪捜査に広く活用されている。科学的鑑定として国内外の専門家から信頼されている検査であるが、その判定結果に大きな影響を及ぼすと指摘されているのが、体動等から生じるアーチファクトの問題である。本研究は、様々なアーチファクトがポリグラフ検査時に測定される自律系反応にどのような影響を及ぼすのか、様々なアーチファクトの検出はいかに可能となるのか、アーチファクト混入データをいかに取り扱うべきかという問いに対し、現行の実務ポリグラフ検査に実装可能な、有効性の高いアーチファクト検出システムの開発をもって回答することを目指すものである。
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研究実績の概要 |
日本のポリグラフ検査は、隠匿情報検査と呼ばれる情報検出技術を採用し、今日の犯罪捜査に広く活用されている。科学的鑑定として国内外の専門家から信頼されている検査であるが、その判定結果に大きな影響を及ぼすと指摘されているのが、体動等から生じるアーチファクト(データに混入するノイズ)の問題である。日本では、従来から目視によりアーチファクトの有無が判断されており、アーチファクトが混入したと考えられる試行に対する判定については鑑定人の経験に任されている部分が大きい。加えて、数あるアーチファクトが様々な自律系反応にどの程度影響を及ぼすのかを体系的に検討した研究は少なく、アーチファクト自体の検出、さらにはアーチファクト成分のみを除去した生体データの利用可能性の可否を検討した研究は皆無である。本研究は、①様々なアーチファクトの影響を可視化し指標ごとのデータベース化を図ること、②現行の実務ポリグラフ検査に実装可能な、有効性の高いアーチファクト検出システムを構築すること、さらに③アーチファクト成分のみを除去する手法を考案し、除去後の生体データの利用可能性を検討することを目的とするものである。 2023年度は、前年に引き続き、①に該当する実験として特定のアーチファクトが自律神経系指標にどのような影響を及ぼすかを検討し、データの収集を行った。適切なデータベース化について模索しており、進行は大幅に遅れているが、一歩ずつ進行している。③についても考案を進めている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度以前の新型コロナウイルス感染症の影響で、実験の実施ができない期間が存在したこと、また感染症対策に伴う他の業務の増大により研究遂行の時間確保が困難であったこと、機材の試用や納入に時間を要したことで、全体的に研究の遂行が大幅に遅れた。本研究は、被験者に触れセンサーを装着し、生理指標を測定することが必須となっており、かつ実験が長時間にわたる実験を要するものである。したがって、適切な感染対策を行うことができる環境の確保について、通常以上に慎重な判断を要したものである。また、新たな資機材の導入の必要性が生じた際に、コロナ禍による材料の不足や業者の対応遅れ等が発生し、迅速な購入ができない状況となったこともあり、計画通りに進行できなかった。少しずつ進行しているものの、その進行スピードは遅れていると言わざるを得ない。 また、2023年度は急な人事的異動が複数生じたことで、想定外の校務に注力せざるを得ない状況が長期間発生した。今年度は研究に割く時間の確保に努め、適切に進行していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
遅れが生じている計画を修正し、迅速にデータ収集を行いたい。各アーチファクトのデータベース化に努め、さらに現行の測定方法のままで実行可能なアーチファクト検出システムについて検討を進める。具体的には、呼吸の解析方法を工夫したり、心電図に着目し、特定のフィルタを使用したり、特定の分析方法を用いてECGとアーチファクトを分離する方法の適用可能性を検討する。各アーチファクトがどの程度心電図に現れるのか、それをどの程度の強度で検出可能なのかを精緻に分析し、アーチファクト除去後の生体データの利用可能性についても合わせて精査する。時間の確保が難しいことから、リサーチ・アシスタント等も適切に活用しながら実施することとする。
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