研究課題/領域番号 |
20K14207
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 (2022-2023) 鹿児島純心女子大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
仲 沙織 鹿児島大学, 法文教育学域臨床心理学系, 准教授 (10814717)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 地域精神科医療 / アウトリーチ / 臨床心理職 / 多職種協働 / SST / 訪問支援 / Social Skills Training |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、精神科医療領域の訪問支援における、臨床心理職を含めた多職種チームによる支援プログラムの構築を目指すものである。 面接室内等の業務が主であった臨床心理職にとって、どのように利用者宅で専門行為を提供し、多職種と協働していくのか模索の段階である。本研究では、臨床心理職の専門行為提供の実際を明らかにすること、訪問支援者の職業的アイデンティティの形成・バーンアウト傾向を調査し明らかにすること、SST(Social Skills Training)の可能性と実効性を探ること、多職種チームによる協働支援体制の中での臨床心理職の役割を探り、より効果的な支援プログラムを構築することを目的としている。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度までの調査研究をまとめ、1題の研究発表を行い、3題の研究論文(査読有)をまとめた。 2023年9月1日~3日に対面開催れされた、日本心理臨床学会第42回大会において、「精神科訪問看護における臨床心理職の配置に関する実態調査」について研究発表を行った。昨年度までに実施した、15チーム134名の精神科訪問看護従事者(医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理職、他)を対象とした質問紙調査の結果を分析し、臨床心理職の配置や訪問支援の現状を精査、検討した。 さらに、研究発表で得た知見をもとに考察を深め、研究論文「地域精神科医療における臨床心理職の訪問支援の現状と課題-多職種アウトリーチチームへのアンケート調査から-」(九州地区国立大学教育系・文系研究論文集10(1))(査読有)の掲載に至った。さらに、患者や利用者への直接介入調査が制限されたため、研究計画の一部変更を行い、「精神科訪問サービスにおけるSocial Skills Trainingの活用のついての一考察-精神科訪問サービス従事者への研修会実施及びインタビュー調査から-」(鹿児島大学大学院心理臨床相談室紀要、16(印刷中))の掲載に至った。また、対象者134名へ実施した2つの心理尺度を分析、検討し、「多職種訪問支援従事者のバーンアウトおよびワーク・エンゲイジメントの検討」(日本福祉心理学会誌、19(1)、印刷中)(査読有)の掲載も予定している。 このように、本年度は、引き続きCOVID-19の影響を受け、患者や利用者への直接介入を伴った調査が制限され、当初予定していた研究課題から大きく研究計画を変更せざるを得なかったものの、最終年度に向けて、これまでの調査データの分析、検討をもとに研究発表を行い、新たな知見を得た上で、研究論文としてまとめることができた1年であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究課題申請時には予期していなかったCOVID-19の感染拡大は収まりつつあり、5類への移行に伴って、社会生活は日常を取り戻しつつあるが、研究対象猟奇の医療・福祉施設では、施設ごとに基準は様々ではあるが、引き続き、感染症への対策がとられている現状にある。そのため、当初予定していた、患者や訪問サービス利用者への直接介入を伴う調査については制限を受け、研究方法や実施手順を再検討せざるを得なかった。支援者対象の調査でも、施設への立ち入りや直接のインタビューを伴わない、オンラインや郵送でのデータ収集となった。 対象者についても、内諾を得ていた施設が感染症対策のため研究協力が困難となったり、患者や利用者の感染症罹患に伴った、調査の延期や中止に至った。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画から変更せざるを得なかったが、最終年度に向け、今年度までに、精神科訪問支援に従事する多職種の研究協力者から得たデータの蓄積の分析、検討をさらに深めるとともに、精神科訪問支援や、他領域に従事する臨床心理職から得たデータを分析、検討し、精神科訪問支援における臨床心理職の職能と多職種支援プログラムの構築に向けた、総合考察をまとめていく計画である。 研究発表は、日本人間性心理学会および、日本心理臨床学会を予定している。また、研究論文は、日本保健福祉学会誌および、新臨床学研究、九州地区国立大学教育系・文系論文集への投稿を予定している。
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