研究課題/領域番号 |
20K14214
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 大阪大学 (2021-2022) 東北大学 (2020) |
研究代表者 |
八木橋 真央 大阪大学, 感染症総合教育研究拠点, 特任助教(常勤) (80801927)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 新型コロナウィルス / 官学連携 / 日本版作成 / 倫理申請 / 研究フィールドの開拓 / 対象リクルート / Scoping review / 倫理委員会申請 / 情報交換 / 心的トラウマ / 外傷 / 心理的回復スキル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、精神疾患の診断基準を満たさない軽度の心的トラウマ症状を有するTBI患者に対する心理回復のためのプログラムの効果を世界で初めて実証する。 具体的には、本研究では、(1) 心的トラウマを有するTBI患者にSolarを施行し、介入の前後において精神症状(抑うつ・不安・PTS症状)が改善するか否か、高いQOLや患者治療満足度が得られるか否か、クロスオーバーデザインを用いて有効性の検証を行う (2) 同プログラムを救命救急医療の看護師等によって実施するための手引書を作成する。 本研究成果によって、救急医療におけるTBIの心理的回復と社会復帰が促進されることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は、新型コロナウイルス感染症回復後、精神疾患の診断基準を満たさないものの、心理的苦痛が残存し、元の生活に戻ることに困難を抱えている方を対象とし、その心理的回復スキル向上を目的としたSOLAR(Skills fOr Life Adjustment and Resilience: SOLAR)プログラムを実施し、我が国における実行可能性の検証を行うものである。 昨年度までの進捗として、大阪府泉大津市の協力を得て、SOLARプログラム実施のための準備と参加者リクルートを行った。また、プログラム実施のために、研究倫理申請、新型コロナウイルス感染症に特化したプログラム資料の準備、オンライン実施に必要な機器の購入、また、研究協力者との連携や最新知見の取得した。また、参加者リクルートのために、二度に渡って泉大津市市政だよりに参加者募集の掲載を依頼した。更に、ナレッジキャピタルと大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)による学習コンテンツであるSpringX 超学校 CiDER(大阪大学感染症総合教育研究拠点)×ナレッジキャピタル正しく学ぶ! 感染症から「いのち」と「くらし」を守る講座 season2第10回 「WithコロナとこれからのWithメンタルヘルス」(https://www.youtube.com/watch?v=TEcwH-IR-38)にて同市との事業取組を一部紹介し、リクルートを行った。 様々な要因による介入研究の遅れを受けて、当該研究課題に関連するものとして、コロナ禍においてどのような心理的支援・療法がなされたか、Scoping reviewを実施した。これは、第41回日本社会精神医学会において、発表し、現在論文化を行った。 現在、介入試験が開始されており、予定された介入総数に達するまでリクルートと介入の実施を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
心理的回復スキル向上を目的としたSOLAR(Skills fOr Life Adjustment and Resilience: SOLAR)プログラム実施のための準備と参加者リクルートを行った。プログラム実施のために、研究倫理申請、新型コロナウイルス感染症に特化したプログラム資料の準備、オンライン実施に必要な機器の購入、また、研究協力者との連携や最新知見の取得、心理的指標の施行許可取得を行った。また、参加者リクルートのために、二度に渡って泉大津市市政だよりに参加者募集の掲載を依頼し、泉大津市リビングラボ事業である新型コロナウイルス後遺症プログラムと連携した。更に、ナレッジキャピタルと大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)による学習コンテンツであるSpringX 超学校 CiDER(大阪大学感染症総合教育研究拠点)×ナレッジキャピタル正しく学ぶ! 感染症から「いのち」と「くらし」を守る講座 season2第10回 「WithコロナとこれからのWithメンタルヘルス」(https://www.youtube.com/watch?v=TEcwH-IR-38)にて同市との事業取組を一部紹介した(同コンテンツは、2023年4月17日現在、再生回数2561回 いいね数67を記録している)。 また、介入研究の遅れを受けて、当該研究課題に関連するものとして、コロナ禍においてどのような心理的支援・療法がなされたか、Scoping reviewを実施した。これは、第41回日本社会精神医学会において、発表し、現在論文化を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の取り組みとして、現在、後遺症プログラムに参加している医師より、1名の紹介を得て、参加者スクリーニングを実施し、まもなくプログラムの施行を開始する。現状において、参加者実績が1名に留まっていることについて、我が国において、メンタルヘルス関係のプログラムへの参加は、これまでそういったものに縁がない人にとっては、参加それ自体が不名誉や差別の対象になることが指摘されており、このことは、本事業に限らず、我が国における心理的支援事業の課題の一つである。また、新型コロナウイルス後遺症については、その疾病の特性上、罹患後の身体面の回復が強く望まれることは想像に容易い。早期から身体面と同様に心理面を注視し、心理的支援を受けることが回復をスムーズにする意味合いから望ましいことが臨床研究上指摘されているが、我が国においては、前述のように不名誉や差別の対象となることから難しい現状があるのかもしれない。更に、うつ病や心理的ストレス反応等、気分障害の多くは、約1年で自然寛解することが知られている。我が国では、オミクロン株が主流となった第6波以降(2022年1月~)、多くの市民が新型コロナウイルス感染症にり患したが、ここで感染した市民、とりわけ心理面の回復の遅れある人に関しては、その回復の遅れが顕在化するのは、1年というタイミングを考慮するに、これからかもしれない。 これら、心理的支援を受ける際の心理的ハードルがあるとして、ハードルを下げるための対策としては、社会的尊敬と信頼がある医師と連携し紹介がある。そのため、今後のリクルート活動として、かかりつけの医師や専門家、関係者の紹介をもってリクルートしていくことを軸とし、令和5年度は引き続き、予定参加者人数(n=15)になるまでまずは参加者リクルートと実施を行っていく。
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