研究課題/領域番号 |
20K14221
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 西九州大学短期大学部 |
研究代表者 |
清水 陽香 西九州大学短期大学部, その他部局等, 講師(移行) (30851414)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 親子関係 / 報酬感受性 / 罰感受性 / 親子データ / 強化学習モデル / 報酬/罰感受性 / ペアデータ |
研究開始時の研究の概要 |
行動に対する報酬や罰といったフィードバック(FB)への反応しやすさは,成人においても子どもにおいても心理的適応に影響する。本研究では,強化学習モデルを用いて推定される報酬や罰の感じやすさと,報酬を得ようとする,罰を避けようとする行動傾向に着目し,ペアデータを用いて,親子のFBへの反応傾向の関連,および親の反応傾向が子どもの心理的適応に及ぼす影響を明らかにする(研究1-1,1-2)。さらに,親に対して介入することで子どもの反応傾向を変容させ心理的適応の促進を目指す,予防的かつ汎用的なペアレント・トレーニングの開発・検証を行う(研究2)。
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研究実績の概要 |
本申請課題の目的は,報酬や罰に対する養育者と子どもの反応傾向を強化学習モデルに基づいて推定し,それらの親子での類似性と,養育者の反応傾向が子どもの心理的適応に及ぼす影響を明らかにすることであった。 第3年度は,第2年度に実施した追試研究に関して,両親の養育行動および報酬/罰感受性が子どもの心理的適応に及ぼす影響を明らかにする観点で,再分析を行った。両親の養育行動と子どもの自己報告による報酬感受性・罰感受性に関連があることが明らかになった。また同時に,子どもの自己報告による報酬感受性・罰感受性が,子どもの抑うつと関連することも示された。特に報酬に関する感受性が抑うつと負の関連を持ち,罰に関する感受性が抑うつと正の関連を持つという結果が得られた。加えて,父親および母親の罰感受性が,子どもの抑うつと正の相関を示すことも明らかになった。これらの結果は,養育者および子どもの報酬/罰感受性が子どもの適応に影響を及ぼすことを示唆する点で意義のある結果であると考えられる。一連の再分析の結果については,一部を第3年度の国内学会において発表済みであり,次年度も引き続き国内外の学会での発表を予定している。 また,第2年度に作成した,報酬/罰感受性を強化学習モデルにもとづいて推定するための認知課題について,これを利用したオンラインでの調査・実験の計画を立案した。中高生とその養育者を対象とし,調査会社において一定のサンプルサイズが確保可能であることを確認した。ただし調査と実験プログラムの接続に関する調整に時間を要したため,調査・実験の実施は次年度となる見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第3年度には中高生とその養育者に対して認知課題を用いた実験を実施し,強化学習モデルに基づいて報酬および罰への反応傾向を推定する予定であった。第2年度には予備実験を実施し,本実験において必要な中高生とその養育者のペアデータの十分なサンプルサイズの確保に関して調査会社とも調整を行っていたものの,調査と実験プログラムの接続に関する調整に時間を要し,実施には至らなかった。しかし,すでに実験実施の準備はおおむね完了しており,プログラムとの接続も可能な見込みのため,次年度はじめには実験を実施し,その後分析・結果の公表を行う予定である。 以上をふまえ,本申請課題の進捗状況はやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度となるが,前期のうちに中高生の子どもと養育者に対するオンライン調査・実験を実施し,親子の報酬/罰への反応傾向,および適応指標の関連を明らかにする。その結果に基づき,子どもと養育者の両方の心理的適応を高めるためには養育者のどのような反応傾向が望ましいのかを明らかにし,そうした反応傾向の学習が可能な介入手法を考案するための手がかりを得る。
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