研究課題/領域番号 |
20K14223
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
榎木 宏之 広島国際大学, 心理科学研究科, 准教授 (90814236)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 曖昧さへの態度 / 適応支援 / ストレス対処方略 / QOL |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、発達障害の一つである成人自閉スペクトラム症(ASD)の、『予測不能な状況』における“『曖昧さ』への態度”に着目し、障害によってもたらされる社会不適応を改善する支援モデルの開発を目的とする。曖昧さに対して良好に機能する「構え」やストレス対処特性などの複合的な関係が解明されると、社会適応の向上が期待できるため、(1)適応をもたらすASD特性、曖昧さへの態度、ストレス対処方略などを含む構造の解明、及び(2)適応度の程度に応じた曖昧さへの態度を中心とした心理的変数の類型化の解明のための調査を行い、(3)発達特性には大きく依拠せずとも可能なASDの社会適応を促す支援モデルの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
研究題目:気質と抑うつ・不安症状の関連ー曖昧さへの態度における調整効果
【目的】気質が抑うつ及び不安症候に影響を与える中で,曖昧さへの態度の調整効果を検討する。 【方法:対象・尺度】一般健常者(N=1019,18~75歳),①病前気質評価:The brief version of the Temperament Evaluation of Memphis, Pisa, Paris and San Diego-autoquestionnaire and the Munich Personality Test(TEMPS-A / MPT);②抑うつ評価:Self-rating Depression Scale(SDS),③不安評価:State-Trait Anxiety Inventory(STAI);④曖昧さへの態度尺度:Attitudes Towards Ambiguity Scale(ATAS) 【結果】気質と抑うつ及び不安症状との関連に対する曖昧さへの態度の調整効果を検討するため,目的変数としてSDS及びSTAIを投入し,説明変数として,step1で年齢・性別を,step2でTEMPS/MPT各因子を,step3でATASを,そしてstep4で交互作用項を投入して階層的重回帰分析を行った。その結果,STAIとTEMPS/MPTの各因子においてはいずれも交互作用は認められなかったが,SDSとTEMPS/MPT各因子の中でcyclothymicとATASの一因子であるenjoymentとの間で交互作用が有意であった。 【考察】循環気質は抑うつを強めるが,曖昧さを楽しめる態度は抑うつを緩和することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
気質と精神症状の間で果たす曖昧さへの態度の調整効果に関する検討は行ったが,前年度より持ち越しになっていたWeb調査の集計結果の公表は未発表のままとなった。 当初,最終年度は,精神科に通院する複数のASD患者に対する面接調査を通して,適応パターンを類型化することで,成人自閉スペクトラム症における適応支援モデルの構築を目指す予定であった。しかし,研究期間途中での異動によって,それまでの患者へアクセスできていた前職とは異なり,現職では臨床群のデータ収集が困難となった。そのため,研究計画の変更が職場異動当時から求められていたが,修正に時間を要し,研究計画の変更作業が今年度まで持ち越されたことが,研究の進捗に遅れが生じた要因である。 今後は,健常群を対象としたアナログ研究の中で,ASD特性が社会適応に与える影響を検討することで,本研究課題全体をまとめる方針である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、下記の3点を中心に研究を遂行する。 1)前年度実施したWeb調査の結果の解析及び適応支援モデルの構築 2)得られた結果は学会で発表する。 3)国際誌へ投稿する。
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