研究課題/領域番号 |
20K14244
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
中島 実穂 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 行動医学研究部, 客員研究員 (40847753)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 児童期トラウマ / 育児ストレス / 育児の質 / 母親 / CTQ / レジリエンス |
研究開始時の研究の概要 |
児童期トラウマは、精神障害や自殺のリスクを高めるなど、生涯に渡って大きな悪影響を及ぼすと問題視されている。児童期トラウマによる心のダメージをケアし、重篤な精神障害や自殺を回避するためには、まず、児童期トラウマによる影響メカニズムを明確にする必要がある。しかしながら先行研究では、児童期トラウマがもたらす結果 (自殺率の上昇など) については調べられているものの、それがどのような心理的・発達的メカニズムで生じているのかについては、十分に調べられていない。 そこで本研究では、児童期トラウマがもたらす心理的影響について、複数の心理学的理論に基づき、多角的に検討する。
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研究実績の概要 |
児童期トラウマとは、18歳未満で経験したトラウマ体験であり、感情的虐待・身体的虐待・性的虐待・感情的ネグレクト・身体的ネグレクトの5つに分類される。児童期トラウマは、精神障害や自殺のリスクを高めるなど、生涯に渡って多大な影響を及ぼすと言われている。近年我が国では、児童虐待に関する報道が多くなされるなど、児童期トラウマ対する関心が急速に高まっている。また世界的にも、自然災害の頻発や情勢不安による影響の増大を背景に、児童期トラウマはますます重大な問題として認識されてきている。児童期トラウマによって傷ついた心を効果的にケアするためには、児童期トラウマがもたらす心理的影響メカニズムを、詳細に解明する必要がある。本研究課題の目的は、児童期トラウマ成人してからの心理特性にどのような影響を与えるのかを検討することである。 2022年度は、育児における問題に対する母親の児童期トラウマ経験の影響を検討した。その結果、母親の児童期トラウマ経験は高い育児ストレスおよび低い育児の質と関連することが示された。また育児における問題では、ソーシャルサポートを活用することの重要性が多くの研究で一貫して示されているが、児童期トラウマを多く経験した母親はそうでない母親比べ、ソーシャルサポート資源が少ないことも示された。さらに、身体的ネグレクトと性的虐待を多く経験している場合は、ソーシャルサポート資源があってもそれが育児における問題の解決に結びつきにくいということも示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
児童期トラウマによる心理的影響に関する研究は近年飛躍的に増加しており、育児への影響を含め、様々なことが明らかになってきている。しかしながら、児童期トラウマの経験がソーシャルサポートの活用に悪影響を及ぼすという効果については、いくつかの研究においてその可能性が示唆されながらも、それに直接的にフォーカスした研究はまだ行われていなかった。その中で本研究は、この効果についてフォーカスを当てた先駆け的研究となり、児童期トラウマによる影響解明に、また一歩寄与するものとなると期待されるため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
先の研究では、児童期トラウマの経験が、後のソーシャルサポート活用力に悪影響を与えることが示唆された。今後の研究では、この効果の詳細を自由記述分析などにより検討していく。具体的には、ソーシャルサポートを上手く活用できている場合とそうでない場合で、当事者のソーシャルサポートに対する認識や利用方法がどのように異なるかを明らかにする。
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