研究課題/領域番号 |
20K14251
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小澤 幸世 東京大学, 教養学部, 講師 (90767716)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | トップダウン処理の感情 / 自伝的想起 / 感情誘導 / 生理変化 / fMRI / 扁桃体 / 社会的感情 / 対人関係ストレス / エピソード記憶 / 瞳孔 / 感情制御 / 認知神経科学 / 心理学 / NIRS |
研究開始時の研究の概要 |
感情の種類には、感情刺激写真などの知覚刺激を用いて、刺激の知覚的・情動的特性に注意を向けることで生成される「ボトムアップ感情処理」と、ストーリー性がある言語刺激などを用いて、ある状況に対する高次の認知的評価を行うで生成される「トップダウン感情処理」がある(Ochsner et al., 2009)。感情制御の実験研究では、ボトムアップ処理の感情が多用されてきたが、本研究では日常の感情体験に近いトップダウンの感情に注目し、感情生成の妥当性や制御効果について、神経生理学的に検証する。基礎的検討から応用的検討へと研究を展開し、知見を日常体験に応用させやすくさせることをねらいとする。
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研究実績の概要 |
これまでに、トップダウン処理の感情誘導(日常生活における対人関係ストレスの想起による感情誘導)や感情制御に関して、生理的変化(瞳孔径と体表温度)と主観的感情変化を中心に検討してきたが、当該年度は、fMRIを用いて感情誘導時の脳活動変化を検討した(「検討1:トップダウンの感情生成の妥当性の検証:神経生理学的検討)の実験1-Aに相当)。すでにデータは採取済みであったが、このfMRIデータについて解析を行った。その成果は、Society for Neuroscienceにてポスターで発表(Virtual poster presentation)した。また日本心理学会でポスター発表を行い、この大会において日本心理学会学術大会優秀発表賞を受賞した。学生主体で開催されている協調的社会脳研究会からも依頼を受け、研究会にて発表した。この内容は論文化し、International Journal of Psychophysiologyで発表した。
また当該年度において、fMRI研究の続編となる感情制御の研究(「トップダウンの感情に対するディストラクション効果」の実験2-Aに相当)に関して、行動指標の解析を行った。fMRIデータの解析についても前処理を行い、解析を進めた。
以上の研究の他に、次の感情制御の実験計画(検討3)を進めた。東京大学大学院総合文化研究科附属進化認知科学研究センターの実験環境を整えた。6名程度の予備実験を行い、20名程度のデータを収集した。今後、データをさらに収集する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
fMRIを用いた検討であるトップダウン処理の感情誘導(日常生活における対人関係ストレスの想起による感情誘導)の研究成果について、日本心理学会で受賞したり、国際学会で発表したりと、一定の成果を得ることができた。しかし、近赤外線分光法(NIRS)を用いた実験計画を遂行するにあたり、予定していたNIRSの機材が故障し、必要部品を入手し修理する必要性が生じたため、実験計画の遂行が遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、現在解析中のfMRIを用いた感情制御の実験(実験2-A)のfMRIデータの解析を進める予定である。前年度に解析は進めてきているが、今後は解析の種類をさらに広げて、コネクティビティ解析などを取り入れていく予定である。fMRI解析の結果は、9月に実施される日本心理学会で発表する予定である。また今年度中に、成果を論文にまとめ、発表していく予定である。 実施中のNIRS実験の被験者データについても、さらに収集していく予定である。現在は20名程度収集済みであるが、最終的には、80名程度収集していく予定である。また、データの解析も進めていく予定である。
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