研究課題/領域番号 |
20K14265
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 中京大学 (2022) 中央大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
楊 嘉楽 中京大学, 心理学部, 講師 (80844703)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 身体所有感 / 乳児 / 定常状態視覚誘発電位 / ラバーハンド錯覚 |
研究開始時の研究の概要 |
自己の身体を「自己」の一部として認識し、他者の身体から区別するという感覚は、身体所有感と呼ばれる。自己の身体を所有する感覚は、身体意識を構成する重要な要素である。近年、ラバーハンド錯覚という身体所有感を変容する手法の発見により、実験心理学および脳機能イメージングの手法を用いた検討が急速に進んでいる。本研究では、乳児にラバーハンド錯覚を誘発できる実験法を提案し、乳児を対象に身体所有感の発達メカニズムを行動実験と脳波計測実験から解明することを目指す。
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研究成果の概要 |
身体所有感の発達プロセスは未だ解明されていないため、本研究では、定常状態視覚誘発電位(SSVEP)を用い、多感覚統合による身体所有感の発達を検討した。実験では、金属棒が手の甲に接触するフリッカ映像を乳児に観察させ、映像に同期して実際の接触がある条件と、まったく接触しないでSSVEP誘発量を比較した。その結果、8ヶ月児では、触覚刺激なし条件と比べ、触覚刺激あり条件のSSVEP誘発量が高いことが判明した。しかし、この条件差は4ヶ月児にみられなかった。これらの結果から、多感覚入力を統合した身体表象は生後7-8ヶ月で既に発達していることが示され、身体所有感は生後発達によって獲得されると示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この研究は、身体所有感の発達に焦点を当て、学術的には認知科学や発達心理学の分野に新しい知見を提供する。特に、生後7-8ヶ月の乳児が身体に関する多感覚情報を統合し、身体所有感を形成する能力を持っていることが示された。これは、身体所有感の発達プロセスを理解する上で重要である。社会的意義としては、この知見が乳児の早期教育や健康プログラムの設計に貢献する可能性がある。多感覚刺激の重要性を認識し、それを活用して乳児の発達を支援する効果的な戦略を考える手助けになるだろう。
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