研究課題/領域番号 |
20K14272
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
樋口 洋子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 学振特別研究員RPD (40793310)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 潜在学習 / 再活性 / 海馬 / 潜在記憶 / 視覚認知 / 神経基盤 |
研究開始時の研究の概要 |
われわれは、自分をとりまく世界の情報を知らず知らずのうちに(潜在的に)学習している。潜在的に獲得された学習内容は場面特異的に素早く発露し、多くの場面でわれわれの行動の効率化に役立つ。その反面、型にはまった発露であるがゆえに融通が効きにくい、という特徴もある。潜在的に獲得した学習内容を場面に応じて柔軟に利用可能な状態に変化させることはできるのだろうか。本研究では、学習内容を意識的に思い出させること、すなわち顕在的再活性がこの変化を引き起こすという仮説を、実験的に検証する。顕在的再活性による潜在学習の変容過程とその神経基盤を解明することで、潜在・顕在学習過程の総合的理解に貢献する。
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研究実績の概要 |
われわれは、自分をとりまく世界の情報を知らず知らずのうちに学習している。この意識の伴わない学習を、意識的な学習(顕在学習)と対比して、潜在学習と呼ぶ。潜在的に獲得された学習内容は場面特異的に素早く発露し、多くの場面でわれわれの行動の効率化に役立つ。その反面、型にはまった発露であるがゆえに融通が効きにくい、という特徴もある。潜在的に獲得した学習内容を場面に応じて柔軟に利用可能な状態に変化させることはできるのだろうか。本研究では、学習内容を意識的に思い出させること、すなわち顕在的再活性がこの変化を引き起こすという仮説を、実験的に検証する。 本研究の最終目標は、潜在的に獲得した学習内容の顕在的再活性による変容とその神経基盤の解明である。これまでの研究では、学習内容の顕在的再活性による変化を検討するための心理物理的実験手法を開発し、その手法を用いて学習内容の再活性に海馬の活動が関係していることを明らかにした。また、海馬の解剖学的な下位領域の活動を解析し、学習内容の再活性には海馬の前部が関与していることを示した。これらの成果をもとに、日本基礎心理学会の若手オーラルセッションにて口頭発表を行った。この発表では、研究内容の新規性や論理の明確さなどの項目で高い評価を受け、最優秀発表賞を獲得した。また、一連の研究成果をまとめた論文を国際学術雑誌に投稿中である。今後は、再活性に伴う学習内容の変容を詳細に検討するための心理物理的実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、潜在的に獲得した学習内容の顕在的再活性による変容とその神経基盤の解明を目標とする。この目標に対して、本研究は概ね順調に進展している。本研究では、視覚的統計学習パラダイムを用いて学習内容の再活性を誘導する方法を開発した。また、機能的磁気共鳴画像法を用いた脳活動測定の結果、学習内容の再活性には右海馬前部の活動が関係していることを明らかにした。2023年度はこれらの成果をもとに、日本基礎心理学会若手オーラルセッションにて口頭発表を行い、最優秀発表賞を獲得した。また、一連の研究成果をまとめた論文を国際学術雑誌に投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究の結果、潜在学習の顕在的再活性によって、潜在的に獲得した学習内容を場面に応じて柔軟に利用可能な状態に変容させることができることを示唆するデータを得た。今後は、再活性に伴う学習内容の変容をさらに詳細に検討するための心理物理的実験を行う予定である。現在、一連の研究成果をまとめた論文を国際学術雑誌に投稿中であり、今年度中の採択を目指している。
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