研究課題
若手研究
マッカイ対応は, 2次元商特異点を介して, 異なる数学的対象が結びつく現象であり, 現在では, 様々な特異点に対する類似・拡張が研究されている.この対応を拡張しようとする際には, 団傾加群という対象が現れる. また, 団傾加群の変異という操作から導かれる「団構造」が, 多くの数学分野に現れることが近年明らかになっている. 本研究では, 団傾加群と, その変異を理解することを通じて「マッカイ対応の拡張」および「特異点を介した数学分野の新たな結びつきの発見」を目指す.
古典的マッカイ対応を拡張する際には、非可換クレパント特異点解消、団傾加群といった表現論的対象が現れる。これらの対象に対しては、「変異」なる操作を定義でき、変異を通じて団代数の理論との関係が見出される。本研究では、トーリック特異点・多様体に付随する対象の変異に注目し、その背後にある団構造やマッカイ対応との関係を考察した。主な成果として、以下の3件がある。(1)組合せ的変異を誘導する「ダイマー模型の変形」なる操作の確立 (2)グラスマン多様体のトーリック退化と組合せ的変異の関係の考察 (3)トーリックcDV特異点のクレパント特異点解消を与える安定性条件と、ダイマー模型のジグザグ道との関係性の解明
本研究のトピックのひとつである「マッカイ対応」の発見以来、マッカイ対応を通じて様々な分野の関係性が見出されてきた。その関係性は新たな研究視点をもたらし、代数幾何・環論・表現論などの分野の発展につながっている。本研究で注目した「団理論」も同様に、複数の分野の背後に隠れている共通の構造を見出すものであり、分野の垣根を超えた研究が進んでいる。本研究においては、マッカイ対応、団理論に関わる新たな研究成果を上げており、その成果は関連分野の研究に大きく寄与すると考える。また、本研究に現れるダイマー模型は、超弦理論・ミラー対称性といった物理学に関わる話題との親和性も高く、研究のさらなる広がりが見込まれる。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 5件、 招待講演 12件) 備考 (1件)
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