研究課題/領域番号 |
20K14281
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 熊本大学 (2021-2023) 東京大学 (2020) |
研究代表者 |
藤田 直樹 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (40866357)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | Newton-Okounkov 凸体 / クラスター代数 / トーリック退化 / ユニモジュラー同値 / トロピカル変異 / ストリング多面体 / 半トーリック退化 / Gleizer-Postnikov パス / リチャードソン多様体 / 旗多様体 / marked chain-order 多面体 / 完全可積分系 |
研究開始時の研究の概要 |
Newton-Okounkov 凸体は代数幾何学及びシンプレクティック幾何学における重要な不変量であり, その理論を用いることでトーリック退化や完全可積分系などの重要な幾何学的概念が構成される. 一方で旗多様体などの特殊多様体に入るクラスター構造も, ミラー対称性の文脈からトーリック退化を構成する一般的な枠組みを定めている. 本研究ではクラスター構造を用いて旗多様体の Newton-Okounkov 凸体に対する統一的な理解を与え, シンプレクティック幾何学の研究へ応用する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的はクラスター代数の理論を用いて旗多様体のトーリック退化に対する統一的な理解を与え, シンプレクティック幾何学へ応用することである. 今年度の研究では後半の研究の目標である旗多様体のクラスター構造から生じる完全可積分系がトロピカル変異によって移り合うかどうかを解明することはまだできていないが, 旗多様体のクラスター構造から生じる Newton-Okounkov 凸体を階数が小さい場合に分類し次の結果を得た.
旗多様体のクラスター構造から生じる Newton-Okounkov 凸体はシードと呼ばれるデータごとに1つ与えられ, シードを取り換えると対応する Newton-Okounkov 凸体は頂点の個数が変わるなどの異なる組合せ論的性質を持つ. そのためユニモジュラー同値という多面体の組合せ論的性質を保つ同値関係によって, クラスター構造から生じる Newton-Okounkov 凸体たちを分類することは重要な問題である. ユニモジュラー同値な多面体に対応するトーリック多様体は同型であるため, この問題は旗多様体のクラスター構造から生じるトーリック退化の退化先を分類する問題とみなすこともできる.
報告者は Sungkyunkwan University の Yunhyung Cho 氏, 大阪大学の東谷章弘氏, および Chungbuk National University の Eunjeong Lee 氏との共同研究において, 旗多様体の階数が小さい場合にこの問題に取り組んだ. 具体的には階数3のA型旗多様体の場合にクラスター構造から生じる Newton-Okounkov 凸体を分類し, Newton-Okounkov 凸体のユニモジュラー同値類を保つような involution であって, ディンキン図形の involution から誘導されるものとは本質的に異なるものが存在することを見出した. この involution は一般の階数の場合にもクラスター構造から生じる Newton-Okounkov 凸体を分類するための手がかりになると期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の研究で得られた旗多様体のクラスター構造から生じる Newton-Okounkov 凸体の階数が小さい場合の分類は, 旗多様体のトーリック退化に対する統一的な理解に繋がるものである. 一方で予定していたケルン大学 (ドイツ) への研究訪問が年度末となったため, 研究計画の見直しが必要となり若干の遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は引き続き旗多様体のクラスター構造から生じる完全可積分系がトロピカル変異によって移り合うかどうかを解明する. クラスター代数の理論から定まる超ポテンシャル関数を完全可積分系と比較しながら研究を進める.
並行して旗多様体のクラスター構造から生じるシューベルト多様体の半トーリック退化について, 超ポテンシャル関数との関係を考察し, ストリング多面体に関する前年度の結果の拡張を試みる.
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