研究課題/領域番号 |
20K14282
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
中島 規博 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90732115)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 超平面配置 / コバウンダリー多項式 / 高階自由配置 / 誤り訂正符号 / ハミング重み多項式 / 特性準多項式 / Whitney多項式 / ハミング多項式 |
研究開始時の研究の概要 |
微分作用素環論では、一般に特異多様体の微分作用素環の環論的性質の解析が困難であると言われる一方で、特異多様体として超平面配置を対象とすれば、高階自由配置の理論から解析が可能になることがある。また、誤り訂正符号の理論において誤り訂正アルゴリズムの訂正能力を評価する方法の一つに使われる重み多項式は、超平面配置のコバウンダリー多項式と本質的に同じものである。本研究では、これらの関連性をもとに、微分作用素環や誤り訂正符号の分野で生じる問題を解決するための超平面配置の理論を構成する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、高階自由配置の性質と特徴を解析し、超平面配置のコバウンダリー多項式や関連する多項式不変量の性質を明らかにすることを目指している。過去の研究では、特性準多項式に焦点を当て、標準基底で表現されたBCD型Coxeter配置やB型Shi配置に関連する特性準多項式を研究した。 BCD型Coxeter配置の特性準多項式の研究では、2022年には、標準基底で表現されたBCD型Coxeter配置を含むクラスの配置の特性準多項式を明示的に求めた。2023年は、本研究で定義したクラスの超平面配置からいくつか超平面を除いてできる部分配置の列を作り、特性準多項式の削除-制限公式を使って、それら部分配置の特性準多項式を計算した。この結果を使うと本研究で定義した超平面配置からできる半順序集合は、(特性多項式の意味での)帰納的半順序であることが証明できる。(特性多項式の意味での)帰納的半順序集合は、最近研究がされ始め、具体例はまだあまり知られていない。本研究をまとめたプレプリントは、現在投稿準備中である。 HIGASHITANI-TRAN-YOSHINAGAによると、「Shi配置から平行な超平面を除いて得られる配置の特性準多項式は、多項式になるかperiod collapseが起こるかのどちらかである」という予想がある。これまでの研究で、この予想は成り立たないことがわかっており、B型Shi配置の場合については新たな予想を立てていた。2023年の研究で、新たに立てた予想が正しいことが証明できたため、現在、本研究をまとめたプレプリントを執筆中である。 また、2023年6月に開催された研究集会「離散構造における不変量の研究」において本研究を周知した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自由配置の研究に関して、2021年までの研究でA型拡張Shi配置・A型拡張Catalan配置が遺伝的自由(hereditarily free)であるための条件を決定している。また、特性準多項式についても、BCD型Coxeter配置や、Shi配置から1組の平行な超平面を除いて得られる配置の特性準多項式に関して一定の成果を得ている。これらを総合して、おおむね順調に進展していると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、まずは現在進行中のB型Shi配置から1組の平行な超平面を除いた配置の特性準多項式に関して、結果を周知しながら関連して解決できる問題があるかを探る。本研究では標準基底を使った形でB型Shi配置を記述しているため、「ルート系を使った基底で書き直したときにどのようなことが言えるのか?」などを考察する。また、他の型のShi配置についても同様の結果が成り立つのかを研究する。 次に、高階自由配置に関連して、Coxeter配置の微分作用素の不変式部分について研究する。特に、これまでは多項式加群としての基底の計算を試みていたが、今後は多元環としての生成系が記述できるかどうかについても考察する。 また、昨年度に引き続き、2024年6月に研究集会「誤り訂正符号と超平面配置に関わる多項式不変量」を開催する予定である。超平面配置・符号理論の研究者に本研究を広めることで、関連分野の研究者の意見を取り入れながら研究を進める。
|