研究課題/領域番号 |
20K14297
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 立教大学 (2023) 東京理科大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
榎園 誠 立教大学, 理学部, 助教 (30843461)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | モジュライ / スロープ不等式 / ファイバー曲面 / 半安定還元 / 消滅定理 / 正標数曲面 / Reider型定理 / 有理点 / Zariski分解 / 拡張定理 / ゴナリティー / 3次元代数多様体 / Noether不等式 / 2重被覆 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,次の3つの課題を解決することである. 課題1:3次元射影多様体に対し,Noether型不等式を導出する. 課題2:Noether型不等式の等号が成立する多様体(3次元Noether多様体)を分類する. 課題3:3次元Noether多様体の変形やモジュライ空間を記述する. 課題1は,3次元多様体が(1,2)-曲面束の構造を持つ場合に焦点を当てる.課題2と課題3 は,(1,2)-曲面束が持つ標準的な2重被覆やその分岐因子の特異点に着目する.
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研究実績の概要 |
当該年度は、前年度から着手しているファイバー曲面のスロープ不等式のモジュライ理論的アプローチからの研究を推し進め、プレプリントを一つ執筆し完成させた。具体的には、ファイバー曲面のファイバー芽にかんするモース化予想の仮定の下で一般ファイバーがモジュライの意味で一般なファイバー曲面に対するスロープ等式を確立した。また、Artinスタック上の因子の有効性にかんする定理を確立した。それらの応用として、種数3の非超楕円ファイバーに対するReid予想を肯定的に解決し、ファイバー芽のChern不変量にかんするLu-Tan予想を部分的に解決した。また、橋詰健太氏と共同で複素解析空間の射影射に対する半安定還元定理を確立し、それを複素解析空間に対する極小モデルプログラムへ応用した。 これらの研究により、本研究対象である(1,2)曲面を一般ファイバーにもつファイバー多様体を安定還元を通して理解する枠組みが整理された。実際、(1,2)曲面のモジュライ空間の(KSBA)コンパクト化の研究は最近ヨーロッパを中心に発展しており、(1,2)曲面の退化の研究にも曲線の退化の場合と同様にモジュライ理論的アプローチを展開できる下地が整ってきている。この研究と当該年度に行った研究(スロープ不等式のモジュライ理論的アプローチ、半安定還元定理)を組み合わせることにより、主な研究対象である(1,2)曲面束のスロープ等式や退化ファイバーの研究のさらなる発展が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に行った一般ファイバー曲面のスロープ等式の研究や複素解析空間の半安定還元にかんする研究により、(1,2)曲面束の退化ファイバーを半安定還元を通して分類・解析する研究を進めることができるようになった。これにより、(1,2)曲面束に対し局所不変量を定義しスロープ等式を確立することが期待できるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の研究方策は、当該年度と同様に(1,2)曲面束の相対標準写像の振る舞いを解析し、退化ファイバーを2重被覆構造を通して粗く分類する。半安定還元の様子を考慮に入れながら研究を進めていく。
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