研究課題/領域番号 |
20K14317
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
野崎 雄太 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (40822648)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ホモロジーコボルディズム群 / 指標多様体 / ホモロジーシリンダー / Reidemeister トーション / A 多項式 / 結び目 / ホモロジーコボルディズム / 整ホモロジー 3 球面 / 2 橋結び目 / Chern-Simons 汎関数 |
研究開始時の研究の概要 |
整係数ホモロジー群が 3 次元球面のそれと同型である多様体を整ホモロジー 3 球面と呼ぶ。ここで向き付けられた整ホモロジー 3 球面全体をホモロジーコボルダントという同値関係で割って得られる集合を考える。すると連結和により Abel 群の構造が入り、これをホモロジーコボルディズム群と呼ぶ。これは 5 次元以上の多様体の 3 角形分割の存在と密接に関係しており、位相幾何学において重要である。本研究では、双曲多様体に対して Chern-Simons 汎関数を計算することでホモロジーコボルディズム群を調べる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、整ホモロジー3球面のなすホモロジーコボルディズム群を指標多様体を通して理解することである。ホモロジーコボルディズム群は、高次元多様体の3角形分割と密接に関係があり、トポロジーにおける重要な研究対象である。具体的には、指標多様体を用いた Chern-Simons 汎関数の計算手法について Ben Mares 氏(m2hycon GmbH)と研究打ち合わせを行った。 また、北野晃朗氏(創価大学)との共同研究において、Reidemeister トーションを指標多様体上の関数と見たときの振る舞いについて、結び目の A 多項式を用いて調べた。特に代数的に興味深い現象を捉えることに成功し、その成果をまとめた論文が Transactions of the London Mathematical Society から出版された。 さらにホモロジーコボルディズム群と関連してホモロジーシリンダーの研究も行なった。具体的には、佐藤正寿氏(東京電機大学)と鈴木正明氏(明治大学)との共同研究において、ホモロジーシリンダーに対する非可換 Reidemeister-Turaev トーションを構成し、その性質を調べた。特に榎本-佐藤トレースおよび LMO 関手の1ループ部分との関係を明らかにし、その成果をまとめた論文は Transactions of the American Mathematical Society から掲載が受理された。以上の研究成果を国際集会 The 18th East Asian Conference on Geometric Topology などで発表した。 また、国際集会「Mapping class groups and Quantum topology」を主催し、本研究に関連する情報収集や議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Chern-Simons 汎関数の計算で重要となる指標多様体や A 多項式への理解が深まり、それに関する論文が Transactions of the London Mathematical Society から出版された。さらに非可換 Reidemeister-Turaev トーションを通してホモロジーシリンダーに対する知見が整理され、その成果をまとめた論文が Transactions of the American Mathematical Society から掲載が受理された。したがって、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究において、指標多様体や結び目の A 多項式さらにホモロジーシリンダーのなすホモロジーコボルディズム群について理解が進んだ。来年度はその成果を基に、Chern-Simons 汎関数や Reidemeister トーションなど指標多様体と関わる関数の研究を推進する。そして整ホモロジー3球面のなすホモロジーコボルディズム群の構造に関して、より詳細な研究へつなげる。
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