研究課題/領域番号 |
20K14321
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
齋藤 俊輔 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 助教 (10846752)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | K安定性 / トーリック多様体 / 漸近的Chow安定性 / Ding安定性 / 強K安定性 / 一様K安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
ケーラーアインシュタイン計量、スカラー曲率一定ケーラー計量や端的ケーラー計量などの標準ケーラー計量の存在問題と関連して現れた偏極多様体の幾何学的不変式論的安定性について研究を行う。目指すところは次の二点である。 (1) 複数あるK安定性の強化概念や漸近的Chow安定性などの相互関係を明確に理解する。 (2) トーリック多様体など対称性の高いものでしか定義できていなかった安定性概念を一般の多様体に拡張しその性質を調べる。
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研究実績の概要 |
ケーラー幾何の中心的な問題である「標準ケーラー計量の存在問題」と関連して、偏極代数多様体の幾何学的不変式論の意味での安定性がいくつか提案されている。本研究の目的の一つは、複数あるK安定性の強化概念や漸近的Chow安定性などの相互関係を明確に理解することである。今年度はトーリック多様体に関する安定性について研究を行い、次の研究成果を得た。
(1)昨年度に偏極トーリック多様体におけるK安定性と漸近的Chow安定性の研究を新田泰文氏と行い、漸近的Chow半安定性の障害が消えている偏極トーリック曲面において極大代数的トーラスに関する同変(一様)K準安定性が漸近的Chow準安定性を導くことを示した。今年度に改めて議論の検討をしたところ、証明にギャップが見つかったため修正を行った。この修正による主結果への影響は無い。 (2)トーリックFano多様体の相対K不安定性には四ッ谷-Zhouによる多面体的な判定法がある。この判定法を適用する前に確認するべき条件があることを新田泰文氏と発見した。3次元の一部と4次元の多様体合わせて130個に対してこの条件を確認したところ、四ッ谷-Zhouの判定法が適用できる可能性があるのは2個のみであることがわかった。この内容をまとめた論文はKodai Mathematical Journalに掲載される。 (3)YaoによればトーリックFano多様体が一様相対Ding安定か否かはその満渕定数によって完全に判定できる。四ッ谷直仁氏・新田泰文氏と共同で2, 3, 4次元のトーリックFano多様体の満渕定数をすべて求めた。応用として、すべてのケーラー類に端的計量を許容するが相対Ding不安定であるようなトーリックFano多様体が3次元と4次元にあることを発見した。この内容をまとめた論文は European Journal of Mathematicsに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トーリックFano多様体に注目し相対K安定性と相対Ding安定性に関する成果を複数得ることができたため順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
・昨年度発見した新たな相対Chow安定性の研究に今年度取り組むことができなかったためこれを行う。 ・相対Chow安定性の反標準類似である相対F安定性を考察し他の安定性との関係を明らかにする。 ・これまでに得た成果がトーリック多様体以外の対称性の高い偏極代数多様体に対して拡張できるか考察する。 また2023年度が最終年度であるため本研究課題を通じてこれまでに得られた成果を論文としてまとめていく。
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