研究課題/領域番号 |
20K14337
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 龍谷大学 (2023) 名古屋大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
藤原 和将 龍谷大学, 先端理工学部, 准教授 (40868262)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 爆発解析 / 初期値問題 / 分散型方程式 / 時間大域可解性 / 消散型波動方程式 / 冪乗型自己相互作用 / 大域解析 / 分数階微分作用素 / 臨界尺度 / 半波動方程式 / シュレーディンガー方程式 / 周期境界条件 / 非ゲージ不変性 / 有限時刻爆発 / 必要充分条件 / シュレディンガー方程式 / 絶対値冪乗型非線型項 / 解の爆発現象 |
研究開始時の研究の概要 |
非線型シュレディンガー方程式の初期値問題に対して、初期状態の形状が及ぼす解への影響を解明する。非線型シュレディンガー方程式の解の挙動は概して、波束を分散させる分散効果と波束を集約させる自己相互作用から複合的に決定される。そして自己相互作用による増幅が分散効果を圧倒する場合、解は自己崩壊する。本研究では、絶対値冪乗型の非線型項に表される自己相互作用に着目する。この自己相互作用は位相の効果を伴わない為、解の爆発現象を誘発する典型例であるが、初期状態の形状が及ぼす解への影響は充分に検討されてこなかった。この為、解の爆発現象に対する初期状態の分類を完成させ、初期状態の形状による解への影響を解明する。
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研究成果の概要 |
本研究では、 周期境界条件の下で、1次元半線型シュレディンガー方程式の解の時間大域可解性の為の、可積分な初期条件に対する分類を完成させた。特に、初期状態の振動が如何に微細であっても、その振動によって解の有限時刻爆発現象が生じる、初期条件に対する特異な不安定性が確認された。加えて2次元の場合は、周波数成分間の相互作用による解の抑制効果が大きくなることが観測されていて、高次元の場合は解の初期値依存性が安定化する可能性を示唆できた。 また、半線型消散型波動方程式の解の爆発時刻を評価する為の、技術的な要件を緩和し、初期状態の積分平均が0である場合の解の存在最大時刻の精密な評価を新たに導出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究における学術的な意義は、従来の解析手法では不可欠であった初期状態に対する積分平均の符号条件を緩和した事にある。従来の解析手法は、複雑な非線型効果による解の増大の様相を、解の積分量に着目する事で要約していた。一方で、本研究ではシュレーディンガー方程式や消散型波動方程式の初期状態の振動の影響を考慮する事で、方程式の非線型効果に対して一歩踏み込んだ理解を与えた。特に、本研究で解明した初期状態の振動が与える解の挙動への影響は、計算シュミレーションによる観測が困難なものであり、純粋数学による解析手法の効果を示す一例を提示できた。
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