研究課題/領域番号 |
20K14349
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
深谷 法良 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 助教 (30849831)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 非線形シュレディンガー方程式 / 定常解 / 不安定性 / 点相互作用 / 基底状態 / 一意性 / 非線形シュレディンガー方程式系 / 孤立波解 / 進行波解 / 時間大域解 / 定在波解 / 安定性 / 微分形非線形シュレディンガー方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
非線形シュレディンガー方程式の孤立波解の安定性に関する研究を行う。孤立波解の安定性は物理学的も数学的にも重要な研究対象である。また現象や方程式の解構造の解明のためには漸近安定性や強不安定性といった、より詳細な解の挙動の解析も重要である。スケール不変性を持たない方程式の孤立波解は周波数によって安定性が変化するため、その解析には精密な議論を要する。 本研究では、非線形シュレディンガー方程式の孤立波解の安定性と不安定性を全ての周波数に対して分類する手法の開発及び既存の漸近安定性と強不安定性のための条件の精密化を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、非線形シュレディンガー方程式の孤立波解の安定性/不安定性を全ての周波数に対して分類する手法を開発すること、そしてその周りの解の大域挙動を解明することである。また孤立波解の構造解析やその形状の性質の解明も行う。 林雅行氏との共同研究で、二重べき型非線形シュレディンガー方程式に対する定常解の不安定性について解析を行った。定常解は周波数パラメータの臨界的な状況に現れるため、安定性を判定するための一般論が適用できない。特に不安定性の証明にあたっては、不安定方向を構成するために必要となる定在波の零周波数における片側導関数の意味付けが必要となる。本研究では、1次元の場合にほぼ最適と思われる条件の下で定常解の不安定性を証明した。不安定方向を構成するために定在波の周波数0における片側導関数が存在することを示し、その空間遠方における減衰度/増大度を調べた。その片側導関数とカットオフ関数を用いて、エネルギー空間に属する不安定方向の構成に成功した。本結果は学術雑誌に投稿中である。 また点相互作用を持つ2次元非線形シュレディンガー方程式の基底状態の一意性についても研究を行った。本方程式の球対称解は、非線形スカラー場方程式と同一の常微分方程式を満たし、原点での境界条件はラプラシアンの基本解と点相互作用パラメータの和で表せる。そのような常微分方程式の境界値問題に対して、相互作用パラメータを固定した場合に、正値解が一意であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は実施期間の最終年度として研究を完遂する予定であったが、次年度の所属先確保のため十分な研究時間を捻出できなかった。そのため事業期間延長の申請を行い、来年度での研究完遂を目指すこととした。
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今後の研究の推進方策 |
2重ベキ型非線形シュレディンガー方程式の定常解の不安定性について、多次元の場合に同様の手法が適用できないかを検討する。さらに、安定であると期待できる定常解の安定性解析も行う。また点相互作用を持つ非線形シュレディンガー方程式の基底状態の一意性について3次元の場合にも成り立つかどうかを検討する。一意性の結果を用いて安定性および漸近安定性の解析を行っていく。これらの研究を推進するため、国内外の共同研究者のもとへ複数回出張を行う予定である。
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