研究課題/領域番号 |
20K14350
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 岐阜大学 (2021-2023) 東京理科大学 (2020) |
研究代表者 |
梶原 直人 岐阜大学, 工学部, 助教 (40843131)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 解析半群 / 最大正則性 / Stokes方程式 / 放物型発展方程式 / 最大正則性理論 / ストークス方程式 / 自由境界問題 / 二相流体 / 準定常問題 / 電気流体力学 / Taylor-Melcherモデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では, 電気流体力学の基礎方程式であるTaylor-Melcherモデルの数学解析を行う. 自由境界問題である本方程式に対し, 可解性を示すことを目的とする. 物理実験より, ある流体中にある液滴に電場を作用させると, 電気的影響により液滴が楕円体になることが知られている. 本研究ではこの楕円体が方程式から再現できるか研究する. 一般に, 古典的な流体の方程式を用いた二相流体の定常解は球体であるが, 本研究では, 電気的な項を入れた本モデルがこの従来と異なる現象を記述できるかを研究する. 方程式に現れる様々な係数と, 定常解である楕円体の長軸, 短軸の関係も明らかにしたいと考えている.
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研究実績の概要 |
本研究を通じて, 偏微分方程式の解析を行なった. 自由境界問題を考える中で, 従来の手法として固定領域に変換する手法が知られていた. 私はそれに対する別のアプローチを考えようとした. 先行研究を調べていく中で, 解析半群生成定理や最大正則性定理が鍵であることを学んでいった. 境界の動きを捉える際には境界条件が非斉次となる線形微分方程式の解析が重要である. 従来の最大正則性評価を示す際には, R有界性の議論が用いられていたが, 私はそれを通常の有界性や複素関数としての正則性の観点から考えた. これにより, 様々な境界条件でのStokes方程式に関して計算量が簡略化されることをみた. 二相流体や層状領域に関するモデルに対しても解公式を簡潔に与え, 解析半群生成と最大正則性を示すことができた. この際, 重力の影響や表面張力の影響を加味することもできた. 同様の手法により層状領域で熱方程式を考え, 両端の境界条件がさまざまなパターンであっても同様の定理を示すことができた. 一方, 本来の研究計画であった自由境界問題の適切性・解の挙動を示すことや, 電気の影響を加味することまではできなかった. しかし今回私が考えた理論をさらに深めていくことでこれらの問題に取り組むことができるのではないかと期待する. 私の結果を一言で述べると, 微分方程式に由来した係数行列の逆行列を求めることなく, 行列式のオーダーのみで解析が進んだり, Fourier multiplierシンボルの高階微分を計算することを不要にしたとも言える. これらの応用としての研究を今後も進めていきたいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来目指していた手法ではなく, 結局従来の手法に近いものを取ることになっている. また, 線形理論に対する解析にとどまっており, 電気の影響を加味することが未だできていない状況である. 一方, 今回新たに構築した線型方程式に対する解析では, 表面張力や重力の影響があったり, 二相流体のモデルであっても解析半群生成定理や最大正則性定理を簡潔に得ることができた. さらに線形方程式を目標とするものにし, 非線形問題へと取り組む必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響で出張ができない時期が続いていたが, 今後はさらに積極的に出張を行い国内外の研究者と議論していきたいと考えている. また, バイアウト制度を利用し, 講義時間を研究時間に充足することにもしている. 線形理論としてはある程度満足したものを得ていると考えており, これからはその理論を本来の方程式に当てはめたり, 非線形問題に取り組んでいく. 自由境界問題に対する一般解法についても知識を得たので, 研究課題を完成させていきたいと考えている.
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