研究課題/領域番号 |
20K14353
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12030:数学基礎関連
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
八島 高将 成蹊大学, 理工学部, 助教 (50794864)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | グラフ理論 / 極値問題 / 因子 / 木 / 辺彩色 / 虹 / 応用数学 / 離散数学 / グラフ / 彩色問題 |
研究開始時の研究の概要 |
グラフとは頂点の集合Vとそれら頂点の対を両端点とする辺の集合Eからなる組G=(V,E)のことをいい,このグラフ上での性質や構造を分析する分野をグラフ理論という. 通常のグラフではTutteの因子定理を中心に因子理論が構築されている.また近年,辺彩色部分グラフに関する研究が増えてきている.本研究課題では,これまでの因子理論と辺彩色問題とを組合せたような辺彩色因子理論をどのように構築できるかという「問い」について研究していく. 通常の因子理論における成果はネットワーク科学などに,辺彩色道や閉路の成果は社会科学や遺伝学などに応用可能である.したがって,本研究は,これらの分野への応用性拡大に期待できる.
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研究実績の概要 |
本年度は,Tutte の因子定理の辺彩色版に関する研究を中心に行った結果,以下の研究成果が得られた. (1)次数和の高い 2 部グラフにおける panconnectivityについて:グラフのハミルトン閉路の存在性は,組合せ最適化と密接に関連しており,これに関する研究が多くなされている.本研究の対象である panconnectivity は,ハミルトン閉路の存在性より強い性質であり,グラフの連結性に関する概念である.Amar らは 2 部グラフの特別な場合において,指定した 2 頂点を結ぶような道で,短い 1 本の道を除いて,すべての長さの道が存在することを保障する最善の非隣接 2 頂点次数和条件を与えた.また,Du らは 2 部グラフのすべての場合において,指定した 2 頂点を結ぶような道で,短い 1 本の道を除いて,すべての長さの道が存在することを保障する最善の最小次数条件を与えた.本研究では,これらの共通の拡張として,2 部グラフのすべての場合において,指定した 2 頂点を結ぶような道で,短い 1 本の道を除いて,すべての長さの道が存在することを保障する最善の非隣接 2 頂点次数和条件を与えることができた.一年目・二年目に得られた知見に加えて,ここで得られた知見も三年目以降の研究に役立つものであると考えている.また,本研究成果は Graphs Combin. に掲載された. 以上が,三年目に得られた成果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
辺着色されたグラフの研究についても国内外の共同研究者たちと研究を継続しており,これらと関連する成果が得られていることから「おおむね順調に進展している」と考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
海外共同研究者とのオンライン打合せの際に見出した辺彩色因子の一方向の拡張概念について,計算量的な議論の一定の成果が得られ,もともとの Tutte の因子定理の辺彩色版定理と併せて現在は論文にまとめている最中である. また,今年度に得られた知見をもとに,当初予定していた辺彩色因子のための簡明な十分条件を引き続き模索し,通常のグラフとの類似性および差異をさらに明らかにしていく. 対面での研究打合せ・研究交流を行いづらい状況は今も続いているが,より良い研究方法を探り,当初の計画通りに本研究を推進する予定である.
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