研究課題/領域番号 |
20K14355
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
劉 逸侃 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (70773084)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 非整数階拡散-波動方程式 / 非局所性 / 一意接続性 / 逆問題 / 一意性 / 長時間定符号性 / 一意性・安定性 / 数値解析 / 非整数階微分 / 拡散-波動方程式 / 解の特徴付け |
研究開始時の研究の概要 |
非マルコフ過程を記述する非局所モデルが数多く提唱され、そのうち時間微分が (0,1) 区間にある非整数階拡散方程式が注目されてきたが、時間微分が (1,2) 区間にある非整数階拡散-波動方程式は十分に解明されていない。本研究は非整数階拡散-波動方程式の初期値・境界値問題に焦点を当て、「通常の拡散・波動方程式と整合した一般理論への展開」、「解の定性的・定量的な特徴付け」、「非局所性の逆問題への影響を解明」の 3 課題に取り込む。既存手法を受け継ぎながら、新たに解の形状や保存則の観点から非整数階拡散-波動方程式の特有な性質を発見し、その性質が逆問題にもたらす効果を評価する。
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研究成果の概要 |
非整数階拡散-波動方程式の定性的性質をより深く解明することができ、いくつかの逆問題も従来より一般の設定で解決した。 解の定性的性質に関して、先行研究が少なかった非整数階波動方程式を解析した結果、「一意接続性」と「長時間定符号性」の側面では非整数階拡散方程式と共通する結論に至った。 関連する逆問題に関しても、上述理論の発展と新しい手法の導入によって先行研究の結果を大幅に刷新した。微分回数の決定について、解の漸近挙動のみによる一意性を証明した。複数の未知係数の同時決定について、一意性の証明に必要な観測回数を無限回から1回に減らせた。ソース項の決定に関しても、データ量の削減と仮定の一般化に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は非整数階拡散方程式に関する結果を補完しつつ、先行研究が少なかった非整数階波動方程式に深く踏み入れ、両者の相違と類似点を「一意接続性」と「定符号性」などの観点から見極めた。これらは既存成果と合わせて、時間微分回数が0から2までの発展方程式の統一した定性理論の完成を意味する。また関連する逆問題の側面において、先行研究より一般かつ現実的な問題設定を考案し、さらに数値結果を裏付ける正当化を行うことで、理論と応用の両面から有意義な成果を得た。 本研究で得られた結果は関連分野の発展に寄与するのみならず、不均質媒質における汚染源の同定においても、事故直後のデータ欠落やデータ不足の場合にも役立つ。
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