研究課題/領域番号 |
20K14364
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
田中 吉太郎 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (80783977)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 空間離散モデル / 連続化 / 非局所発展方程式 / 反応拡散系近似 / 数値シミュレーション / 拡散誘導不安定化 / 数理モデリング / 反応拡散系 / 反応拡散近似 / 離散方程式の連続化 / パターン形成 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,対象までの距離によって働きをかえる空間大域的に影響を及ぼす相互作用の存在が実験的に報告された.この相互作用は,数理モデルの中で適当な積分核で記述される.その積分核の形状がわかれば,数値計算から発生するパターンを調べることができるという利点があるが,現象の背後にある因子や機構を調べることは難しい.このことを動機として,本申請課題は,この積分相互作用の数理モデルを反応拡散系で近似し,背後にあるミクロな情報を調べる一つの解析手法の確立を目指す.さらに,多細胞生物の発生現象の数理解析を動機に,積分相互作用を用いて,細胞の大きさと形状を保存する,空間離散モデルを連続化する新たな方法を確立する.
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研究実績の概要 |
この研究課題の一つの目的は,空間方向の独立変数が離散量である数理モデル(空間離散モデルと呼ぶ)に対して,細胞や格子の大きさの形状を保存したまま連続モデルに変換,または積分方程式で近似し,空間離散モデルの新たな解析手法や数理モデリングの方法を確立することである.この連続化の研究に関しては,昨年度までに,平行移動作用素や積分方程式を用いる方法論を確立し,既存の離散モデルに応用してその有用性を確かめた.そしてこれらの結果をまとめて論文として出版している.また22年度に日本応用数理学会の論文誌に招待され,その方法論を報告した. さらに22年度は,本連続化法の応用として,空間離散の反応拡散系を本手法で連続化したあと,連続モデルの解析方法を連続化したモデルに適用することで,パターン形成の基礎理論であるTuringの拡散誘導不安定化の空間離散の場合の十分条件を導き,連続モデルの場合の条件と比較を行った.この結果について現在論文執筆を行なっている. 本研究課題のもう一つのテーマである,高次元空間上での積分核付き相互作用の反応拡散系近似の理論構築について,特定の積分核による積分相互作用をもつ非局所発展方程式の解が反応拡散系で近似できるかどうかについて調査した.この場合に関しては反応拡散系の時定数の特異極限を取ることによって非局所発展方程式の解が近似できることがあきらかになりつつある.現在これらの計算結果を精査し,論文投稿に向けて準備を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
周期境界条件付きの一次元一様格子及び非一様格子上の空間離散モデルに対する連続化法を提案することができ、論文として査読付き学術雑誌に出版することができた。 空間離散の場合の反応拡散系の拡散誘導不安定化の条件を明らかにすることができた.しかし論文としてまとめきれておらず,投稿ができていないので上記の区分とした.
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今後の研究の推進方策 |
上記の細胞や格子の大きさや形状を保存したまま空間離散モデルを連続モデルに書き換える手法を1次元ユーグリッド空間上に拡張する。また本研究課題のもう一つの目的である、高次元空間上での積分核付き相互作用の反応拡散系近似の可能性について調査をすすめる。
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