研究課題/領域番号 |
20K14373
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 九州工業大学 (2023) 京都大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
大熊 信之 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80869503)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 非エルミート系 / トポロジカル物性 / ボソン系 / トポロジカル現象 / 電子相関系 / 量子開放系 / 非エルミート量子系 |
研究開始時の研究の概要 |
非エルミート相互作用は、従来の量子力学で禁止される様々な現象を許容すると共に、物理学に応用を持たなかった数学分野に光を当てる。その代表例として、1次元量子系のエネルギースペクトルが境界条件に著しく依存する非エルミート表皮効果が挙げられる。トポロジカル絶縁体を始めとした境界の物理に注目が集まる現代物性論・場の理論分野への非エルミート物理の応用を考えた際、表皮効果の数理を解き明かす事は喫緊の課題である。本研究では、申請者等の先行研究により有効性が確認されている、半無限系のスペクトル理論とトポロジカル物性論を援用し、表皮効果の数理を非エルミートトポロジカル絶縁体の観点から明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度はボソンのBdG系が持つ擬エルミート性トポロジーに関する研究を行った。ボソンBdG系においてフェルミオン系と同様に粒子・正孔バンドを定義した場合、通常の意味では粒子・正孔間のトポロジーが自明になる事が知られていた。本研究では、エルミート系で考えられてきた「ベリー位相分極」によるエッジ状態の概念を、ボソンBdG系に拡張する事で、粒子or正孔バンドのベリー位相が非自明になる事で生じる特殊なエッジ状態を考案した。また、このエッジ状態は非エルミートトポロジーと密接に関わることも示した。この成果はプレプリントサーバーにて公開され、現在論文誌にて査読中である。この他にも共同研究に境地者として加わった論文2つが既に出版されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで続けていた非エルミート表皮効果の研究に加え、ボソン系BdGハミルトニアンにおける擬エルミート系においても研究を行った。研究計画の段階ではあまり見通しが立っておらず優先順位が低かったが、本年度行った研究の中で進展があり、具体的な成果を出す事ができた。研究計画では未知の非エルミート現象を探索する事も大きな目標の一つであったため、その意味において本年度の進捗は研究計画の目的を一定程度満たすものであると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在非エルミート系と同時並行的に行っているチャーン絶縁体の研究において、非エルミート性が思いがけず関連する事が分かってきた。本年度はこの方向性に的を絞って研究したい。
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