研究課題
若手研究
レーザー光源技術や時間・空間分解測定法の急速な発展により,固体物性の高速光制御に関する研究は新たな局面を迎えている。本研究では,時間的・空間的な階層性の観点から強相関多体系において光照射により誘起されるダイナミクスの理論解析を実施する。これによりナノメートル程度の微視的量子状態とサブマイクロメートル程度の半巨視的秩序状態の関係を明らかにし,物性の新たな光制御法の構築を目指す。
本研究課題では,強相関多体系において光照射によって生じる時間的・空間的ダイナミクス,特に微視的量子状態から巨視的秩序状態が形成されるプロセスに注目して理論的研究を行った。空間反転対称性を持つ磁性体においては遍歴電子を光電場で駆動することで非熱的な状態が実現し,平衡系において従来知られていたものとは異なる機構によってスピンスカラーカイラル状態や120度ネール状態などの様々な磁気秩序状態が誘起されることが見出された。また,同様に電子を光電場で駆動することで,反強磁性体の交替磁化方向の制御や,強相関系を含めた準粒子バンド構造の分光が可能であることも明らかになった。
本研究成果は,レーザーなどの光照射によって生じる非平衡状態において,平衡状態の性質からは予想されない新奇な現象が生じることを具体的に示しており,非平衡系の豊かな物理の一端を明らかにしたものである.この知見は,非平衡物理学や光物性物理学における新たな研究の方向性を与えるだけではなく,将来的には従来の限界を超えた新たなデバイスの基礎原理にも繋がる可能性があるものと期待される.
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 9件、 招待講演 2件) 備考 (3件)
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