研究課題/領域番号 |
20K14401
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
小林 拓矢 埼玉大学, 研究機構, 助教 (50827186)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 有機伝導体 / 核四重極共鳴 / 電荷秩序 / 強相関電子系 / 反強磁性 / 超伝導 / 核磁気共鳴 |
研究開始時の研究の概要 |
BEDT-TTF系電荷移動錯体が示す電荷ガラスやディラック電子、量子スピン液体などの特異な電子物性においては、電荷自由度の重要性が指摘されている。これらのメカニズムを詳しく理解するため、本研究では、電荷敏感な手法である核四重極共鳴(NQR)法を提案する。この手法においては、核四重極モーメントと電場勾配が相互作用することで電荷のダイナミクスを直接検出できることが期待されるが、これまでBEDT-TTFを含む物質ではほとんど例がない。そこでまず代表的な電荷秩序物質においてNQR測定により何が観測されるかを明らかにし、その後、新奇物性を示す物質のNQR測定を行い、電荷に由来した物性の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
有機導体は、低次元性と電子相関に由来した、電荷とスピンの性質が複雑に絡み合った多様な物性を示す。有機導体の物性を調べる方法として、これまで核スピンI=1/2の炭素・水素核を利用した核磁気共鳴(NMR)法が用いられてきたが、この場合核スピンは磁場のみと相互作用する。本研究では、磁場に加え電場勾配と相互作用を持つI≧1の核種に着目し、有機導体における核四重極共鳴法を開拓した。その結果、伝導層における電荷秩序パターンの検証や特異な電荷ゆらぎの観測に加え、核スピンが絶縁層に位置することを利用した伝導層間の相互作用の大きさの評価など、これまでのNMR法では得られない有機導体の物性を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
有機導体は、現代の科学技術で応用されているような金属や半導体とは異なるメカニズムで金属―絶縁体転移を示したり、超伝導や量子スピン液体など今後さらなる応用が期待される量子物性を示すことから物性物理分野において注目されている。本研究は、有機導体の示す物性のメカニズムを解明するとともに、これまでの有機導体の研究では用いられなかった核四重極共鳴という手法を開拓するものである。この手法により、これまで実験的に明らかにされてこなかった有機導体の電子物性のメカニズムや、本研究を通して見つけた新規物性を解明することができた。
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