研究課題/領域番号 |
20K14402
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤 陽平 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50802732)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | トポロジカル相 / 量子Hall状態 / 量子スピン液体 / 測定誘起相転移 / エンタングルメント / 量子ホール効果 |
研究開始時の研究の概要 |
物質中の電子やスピンなどの微視的な自由度は、それらの間の強い相互作用により、元の電子やスピンが持たない非自明な性質(分数統計や分数電荷)を持った励起(準粒子)を発現することがある。本研究では、このような準粒子を持つ物質相であるトポロジカル秩序相に注目し、場の理論やゲージ理論などの解析手法を用いて、その微視的な発現機構と背景にある数学的な分類理論とを結びつけるような有効理論の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
空間2次元のトポロジカル秩序相においては点状の準粒子が非自明な統計性を持つが、空間3次元のトポロジカル秩序相では点状の準粒子に加えてループ状の準粒子が現れ、それがら非自明な統計性を示す。さらに空間3次元では、トポロジカル秩序の枠組みに当てはまらない相としてフラクトン相が存在し、空間的に制限された易動度を持つ準粒子が非自明な基底状態の縮退度などをもたらす。我々は、これら3次元のトポロジカル相を実現する微視的模型として、量子細線による可解模型を系統的に構成する方法を提案し、プレプリント( arXiv:2112.07926)として公開していた。その後、特定のフラクトン相における準粒子の易動度がセルラーオートマトンで記述できることを見出し、幾何学的なフラクタル構造との関係について議論を追加して改訂を行った。これらの結果は最終的にPhysical Review Researchより出版されている。 また、ハーバード大学やペリメーター研究所などの研究者と共同で、周期駆動された光格子上の冷却原子気体において、2次元のトポロジカル相である量子Hall状態を実験的に実現する方法を提案し、プレプリント(arXiv:2401.08754)として公開した。本研究において、申請者はFloquet理論によって得られた有効模型の弱結合領域を量子細線の方法によって解析し、対称性に保護されたトポロジカル相の一種であるボゾンの整数量子Hall状態が出現することを理論的に示した。それらの結果は共同研究者らによって数値的に実証されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、前年度末に生まれた第1子の子育てによる時間的制約のために、当初予定していたトポロジカル相の欠陥の研究などは計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
量子細線による3次元のトポロジカル秩序相の構成が、トポロジカル秩序相における種々のトポロジカル欠陥の構成にも拡張できることを発見したため、それらの結果について既知の分類理論との対応を明らかにした上でまとめる予定である。その上で、フラクトン相における欠陥についての拡張を試みたい。
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