研究課題/領域番号 |
20K14404
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
栗原 綾佑 東京大学, 物性研究所, 特任研究員 (00795114)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 強相関電子系 / 電子ネマティック相 / 電気四極子 / 結晶対称性の破れ / 超音波計測 / 非破壊パルス強磁場 / 電気多極子秩序 / 4f電子 / 電子ネマティック / 超音波 / 強磁場 / 重い電子系 / 多極子秩序 / p-f混成 / 超音波物理 / Ce化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
正方晶化合物CeRhIn5の基底状態と励起状態はクラマース二重項であり低温で反強磁性秩序が現れる一方,高次多極子秩序は示さない.他方,強磁場中で電子系の対称性が正方晶よりも顕著に低対称化する電子ネマティック相が提案され,その秩序変数と量子状態は未解明となっている.そこで本研究では,強磁場下の超音波計測によって弾性定数と超音波吸収係数の異常や量子振動を観測することで,系の低対称化を特徴づける結晶空間群の既約表現やフェルミ面を明らかにし,p-f混成により実現する電子ネマティック相の普遍性と電気四極子秩序,および結晶対称性の破れを,CeRhIn5, CeIrIn5, CeCoIn5を舞台に追究する.
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研究成果の概要 |
パルス強磁場下超音波計測によりCeTIn_5とLaTIn_5 (T = Co, Rh, Ir)の弾性定数および超音波吸収係数を網羅的に測定し,磁場によって誘起される電子系の相転移と結晶対称性の破れを調べた.CeRhIn_5の電子ネマティック(EN)相では正方晶D_4hのB_1g対称性の弾性定数が異常を示した一方で,LaRhIn_5では異常が観測されたなかった.この結果は,Ceの4f電子がEN相転移に寄与することを示している.他方,CeIrIn_5やLaIrIn_5はEN相を示唆する弾性異常は観測されなかった. これらの結果から,CeRhIn_5の2次元性が強いp-f混成の重要性を解明した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では,約30Tという強磁場中で顕著に異方化する電子状態の起源を解明するため,60 Tまでの磁場を容易に発生できる非破壊パルス強磁場と,異方的な電子状態の観測に長けた超音波計測を組み合わせた物性測定を推進した.その結果,化合物中のどの電子が異方的な電子状態の実現に寄与するかを解明した. このような異方的な電子状態の起源は議論がつづいており,新たな学術的知見を獲得できた. また本研究で得た知見によって,例えば磁場を用いて電流が流れる方向を操作するような新しいスイッチングデバイス実現など,将来的な産業への寄与も期待できる.
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