研究課題/領域番号 |
20K14408
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 九州大学 (2022) 東京大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
中村 祥子 九州大学, 理学研究院, 准教授 (00726317)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 超伝導電流 / テラヘルツ / 非相反応答 / 反転対称性の破れ / 磁束量子 / 第2高調波発生 / 超伝導 / 電流 / 非相反 / 電流注入 / テラへルツ |
研究開始時の研究の概要 |
空間・時間反転対称性が同時に破れると、電流の流れる方向によって電気抵抗が異なる「非相反電荷輸送現象」が起こりうる。通常、この現象は、空間反転対称性の破れた物質に磁場を加え、時間反転対称性を破ることで発現するが、超伝導体を対象とする場合は、その磁場による超伝導破壊という副次的効果が起こりうる。そこで、本研究では、流れ、より具体的には、直流電源や円偏光を用いて注入する超伝導電流が、マイクロスコピックに時間・空間反転対称性を破ることに着目し、「磁場」に並ぶ新たな場としての「流れの場」を与えることで誘起される非相反電荷輸送現象を探索する。
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研究成果の概要 |
超伝導電流は、電子の非散逸的な流れであり、時間・空間反転対称性を破る。そのため、超伝導電流注入下の超伝導体は、反転対称性の破れに由来する特殊な電磁応答である非相反電荷輸送現象を示す。 本研究では、超伝導体に対して、(1)直流電流を直接注入する、(2)テラヘルツ光パルスで過渡的に電流を誘起する、(3)転移温度以下で磁場を印加して渦状の遮蔽電流を流す、の3つの方法で超流動電流を流しながら狭帯域の高強度テラヘルツ波パルスを照射し、その透過波を観測することで、電流注入下の超伝導体による非線形光学応答を研究した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
電流は一般に時間反転対称性を破る。通常の散逸的な電流においては、不可逆性(irreversibility)という意味で対称性が破れるが、超伝導電流の場合は、磁場と同様な平衡場の1種として、文字どおりの時間反転対称性(time-reversal symmetry)を破ると期待される。 本研究では、空間反転対称性が破れた物質が磁場下で発生する第2高調波発生が、超伝導電流存在下の超伝導体によっても発生することを実験的に示し、上記の解釈を提案した。加えて、光学測定時に超伝導電流を注入する手法を複数実証し、現在理論研究が進められている超伝導電流が誘起する相転移や特異な光学応答の測定に向けて道を拓いた。
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