研究課題/領域番号 |
20K14410
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大池 広志 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70725283)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | トポロジー / 非平衡 / 磁性 / 準安定 / 熱ゆらぎ / スキルミオン / ゲージ場 / ベリー位相 / ホール効果 / 熱電効果 / 相転移 / 非平衡現象 / 急冷 / 磁気スキルミオン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、トポロジーと熱ゆらぎの協奏によって生まれる現象を探索する。対象物質は、特殊な磁気構造のトポロジーに由来した創発磁場を示す物質の中でも、特に不純物による伝導電子の散乱頻度が少ないカイラル磁性体MnSiとした。温度上昇に対する創発磁場の変化を、不純物添加量に対する変化と比較することで、熱ゆらぎが創発磁場に与える影響を顕在化させる。さらに、熱流下における伝導電子の振る舞いを電流下の振る舞いと比較することで、創発磁場が伝導電子に与える影響を多角的に調べる。熱流と電流が異なるエネルギー分布の伝導電子の運動を誘起することを利用し、熱ゆらぎに影響された創発磁場の素性を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究課題の目的は、トポロジーと熱ゆらぎの協奏によって生まれる現象を探索することである。磁気スキルミオン物質中の伝導電子は、真空中とは異なるトポロジーの空間に拘束されながら伝導することに起因して、あたかも磁場を感じているかのように振舞う。本研究では、この創発磁場に対する熱ゆらぎの効果を実験・理論の両側面から検証した。すると、温度上昇とともに創発磁場の強度が弱まることが明らかになり、その原因が熱ゆらぎによるトポロジー変化であることが示唆された。本研究の成果は、トポロジカル物性の研究においてあまり考慮されてこなかった熱ゆらぎの効果が、定量性の理解・設計に重要であることを意味している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、理想的な系の考察に基づく「トポロジー」という概念と、現実の系に内在する「ゆらぎ」という概念を融合させたことである。このような異なる前提から導かれた概念を融合することは、新たな研究領域の開拓に繋がる可能性を秘めている。また、本研究の社会的意義は、トポロジカルな性質に基づく材料開発の新たな指針を提示したことである。磁気スキルミオン物質中における電子の応答は、熱電変換の新原理としての応用が期待される一方で、低温極限でしか定量的な理解が実現されていなかった。本研究で定量評価が可能な温度域を拡張したことは、高効率な熱電変換材料の設計指針の確立に繋がると考えている。
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