研究課題/領域番号 |
20K14414
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
広瀬 雄介 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00647125)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 励起子絶縁体 / 元素置換効果 / キャリドープ効果 / 新物質探索 / 不純物効果 / 元素置換 / 単結晶育成 / 圧力効果 |
研究開始時の研究の概要 |
半導体や半金属における伝導帯の電子と価電子帯の正孔がクーロン引力によって対(励起子)を形成し、この励起子の量子凝縮である励起子絶縁体(EI)転移が理論的に提唱されている。近年、EIの候補物質としてTa2NiSe5など注目されている。EI転移はクーパー対の凝集である超伝導と同様の理論的体系で理解でき、超伝導発現機構を議論する上で不純物効果は重要な研究である。本研究では、EI転移に対する不純物効果に着目する。Ta2NiSe5におけるTaやNiサイトの元素置換物質の単結晶育成し、EI転移をバルク物性測定により理解し、不純物によるキャリアドープなどによる新奇な電子状態の探索を行う。
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研究成果の概要 |
本研究では、励起子絶縁体候補物質Ta2NiSe5の元素置換物質の単結晶育成および物性測定を行った。励起子絶縁体転移温度TcとTc直上のギャップEgは置換によって抑制されるが、置換量に対する抑制率は元素ごとに異なることがわかった。さらに、抑制の起源も元素ごとに異なると考えられる。一方、TcとEgの関係は置換元素によらず普遍的な関係を示し、Eg~750KにおいてBCS-BECクロスオーバーが実現している可能性を示した。 また、ある元素による置換では、元々の半導体的な電気伝導が金属的なものへと変わることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで励起子絶縁体の研究は光電子分光などによるバンドの直接観測をメインとしてきた。本研究では、元素置換によるバルク物性測定によるアプローチという点で意義がある。励起子絶縁体を証拠づける一つとして超音波吸収のコヒーレンスピークが挙げられるが、試料の薄さが原因で実験が不可能であった。本研究で作製した元素置換物質では超音波実験が可能な従来の10倍以上の大きさのものが得られ、今後、励起子絶縁体かどうかの検証が期待される。また、Ta2NiSe5は光誘起の絶縁体-金属転移を示し、オプトエレクトロニクスの観点からも注目されている。元素置換による金属化の起源を調べることで、応用への発展が期待される。
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