研究課題/領域番号 |
20K14422
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小沢 秀樹 国立研究開発法人理化学研究所, 量子コンピュータ研究センター, 特別研究員 (50826013)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
|
キーワード | 冷却原子 / ボース気体 / 超流動 / モット絶縁体 / 三角格子 / 量子気体顕微鏡 / 三角光格子 / ラマンサイドバンド冷却 / カゴメ格子 / ボース・アインシュタイン凝縮 / 負温度 / 量子シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
我々に馴染みのある系では絶対温度の符号は正である。仮に系のエネルギースケールを反転することができると、エネルギーが最も高い状態が最も高確率で占有される「負の絶対温度」になる。 本研究では、負温度状態のボース・アインシュタイン凝縮体を三角格子およびカゴメ格子中で実現し、量子フラストレーションの実験的研究を目的とする。三角格子およびカゴメ格子構造を光の干渉を使って構築し、その光学系へレーザー冷却されたボース気体を導入する。光格子中の冷却原子系は非常に高い自由度を持っており、パラメータの符号を変えることが可能なので、負の絶対温度を実現し、量子フラストレート系の相図を描くことができると考えている。
|
研究成果の概要 |
本研究では、87Rb原子のボース・アインシュタイン凝縮(BEC)を実現し、量子気体顕微鏡(QGM)を使って、三角光格子中のBECの干渉パターンやフィリングを測定した。 これまで我々の実験系においてBECの生成が大きな課題であった。この課題を解決するために急さな光トラップを導入し、BECの生成が確認できた。またSF-MI転移が発現する浅い光格子とQGM観測を行う深い光格子を共存させるために、ログスケールPDを用いて、4桁ダイナミックレンジを実現した。 以上の改善の後、浅い三角光格子中にBECを導入し、干渉ピークが現れることが確認できた。さらに、深い格子ではフィリング80%程度のMI相を実現した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
SF-MI転移の観測は、光格子中の冷却原子を用いた量子シミュレーターとしてのベンチマークテストをクリアしたことになる。n=1のユニットフィリングが準備できたことで、より高度な物理現象を探求するための下地ができたと言える。さらに、三角光格子中のBECとQGMを組み合せることで、TOF測定とin-situ測定の両立が可能になった。これにより、空間的な相分離の可能性まで含めて量子フラストレーション系の相図をより正確に描けるようになった点で、本研究成果は学術的に意義深いと考える。
|