研究課題/領域番号 |
20K14426
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西口 大貴 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (20850556)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アクティブマター / 集団運動 / アクティブ乱流 / カオス / バクテリア / 高次元力学系 / 非平衡物理学 / 生物物理学 / バクテリア乱流 / トポロジカル物性 / 非平衡統計力学 |
研究開始時の研究の概要 |
多細胞生物の発生などにおける秩序立った細胞集団運動では、組織形状などの境界条件と運動が強く結合している。一方で、境界から遠く離れたバルク中における実験系では、速度場が時空カオス的に乱雑に変動を示すアクティブ乱流状態が広く観察される。そこで本研究では、バクテリア濃厚懸濁液の示すアクティブ乱流を題材に、境界条件による集団運動の秩序化原理を実空間トポロジーに基づいて調べるとともに、その数理的性質を波数空間トポロジーの観点から解明することを目的とする。アクティブマターのトポロジカル物性を実験的に直接観測することで、トポロジカル・アクティブマターという新領域を開拓する。
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研究実績の概要 |
まず、昨年度に引き続き、バクテリア数密度の時空間的なゆらぎを検出する手法の検討を進めた。新たな共焦点顕微鏡の導入により、バクテリア数密度の可視化をより効率的におこなえるようになった。この実験系において、十分な蛍光強度でかつ光毒性や褪色が少なく長時間観察できる実験条件の検討を進め、外部からの染色や各種蛍光タンパク質発現株を試した結果、望ましい実験条件を見出すことができた。 同時におこなっていた、アクティブ乱流の境界条件の詳細な理解のための単体のバクテリアにおける遊泳と障害物の相互作用の空間次元依存性の実験については、流体数値計算を加えることで論文としてまとめ、出版された。 また、実験の撮影条件の検討等と並行して、実験系の設計をおこなうための数値計算コードの改良をおこなった。GPUベースで高速な数値計算が可能なコードを開発した結果、アクティブ乱流の障害物や壁の存在下での振る舞いを速やかに予測し、実験系の設計のスループットを向上で愛することに成功した。この技術を活用することで、従来の手法では困難であった、円形領域内などの閉鎖系におけるアクティブ乱流の秩序状態の詳細を高解像度で捉えることができるようになった。特に、小さな半径の円形閉じ込め内でアクティブ乱流が秩序化し、安定な1つの渦を形成する状態から、半径を大きくしていくに従って渦が乱れて、最終的にバルクのアクティブ乱流へと至る道筋を詳細に調査した。結果、振動解やカオス解を行き来するリエントラント転移を示ししつつ乱流へと至るという現象を発見した。これは、慣性乱流などで知られているいずれの乱流化シナリオにも合致せず、また低次元力学系の言葉では説明できない、高次元力学系の未知の転移であることを、振動周期やLyapunov指数、周波数スペクトルなどの解析から明らかにした。本研究について論文化の準備をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
導入予定だった顕微鏡の納品が、半導体不足等の社会情勢の影響を受けて年度末までずれ込んだため、研究期間延長をすることとなった。しかし実験面での遅れを補うために、数値計算による実験系の予測手法を精緻化するなかで、アクティブ乱流化のシナリオについて新たな理解を得ることができた。数値計算や理論面では当初の想定よりも順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
新たな顕微鏡での撮影条件を確立できたため、この条件に基づいて必要な実験系を微細加工により作成し、密度揺らぎの精密測定実験を実施し、その解析をおこなう。また、作成したGPUベースのコードでは任意形状の境界におけるアクティブ乱流の予測をおこなえるため、これを用いて新たな実験系のデザインをおこない、必要に応じて実験をおこない、検証を行う。
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