研究課題/領域番号 |
20K14444
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
藤田 宜久 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (20780711)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 光渦 / コルゲート導波管 / ECRH |
研究開始時の研究の概要 |
電子サイクロトロン共鳴加熱(ECRH)はプラズマ加熱の代表的な方法の一つである.ラゲールガウスビームは3次元的な位相構造からくる自由度により,効果的に共振させることができるため,さらなる加熱効率の向上が期待できる.しかしながら,既存伝送路ではラゲールガウスビームの伝播を想定していないため,伝播可能性を調査する必要がある.既存加熱装置を改変することはリスクを伴うため,理論計算をもとにした数値シミュレーションを用いる.現在の ECRH 装置ではコルゲート導波管が用いられており,その固有モードはハイブリッドモードである.そこで,ラゲールガウスビームのハイブリッド化も行う.
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研究実績の概要 |
本研究は,大電力高周波システムにおけるラゲールガウスビームの励起,並びに伝送を実現することを目標にしている.具体的には,すでに大電力システムで用いられているコルゲート導波管の任意モードを複数重ね合わせることにより,光渦モードを励起させることを目指す.過年度までの成果として,「コルゲート導波管における光渦モードの導出」,及び「ガウスビームを用いた励起の実現可能性」を明らかにしてきた.また,「数値的に検証するためのシミュレーションコード開発」も行っている.2022年度は特に「ガウスビームを用いた導波管モードの励起」について新しい知見が得られたので以下に示す. 1.伝播モードの結合断面における複素ポインティングベクトルを解析的に計算することで,ガウスビームと導波管モードのカップリングを明らかにした.従来は進行方向成分のみの評価にとどまっていたが,軌道角運動量に比例する方位角成分までも評価することで,渦度を見積もることを原理的に可能にした. 2.入射角度に応じて様々なモードを励起できる反面,無視できないほどの意図しない高次モードも励起されることが分かった.得られた成果を元に,不要な高次モードを打ち消すようなパラメテータの同定を考えていく必要がある. 上記2つの成果はいずれも国際学会「JSST2022,ISPlasma2023」で発表している.今後も継続して発表していく予定であり,すでに査読付き国際会議での発表も決まっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
入射角度に応じて,ガウスビームが様々な導波管モードとカップリングすることを示した.これは,ラゲールガウスビームの伝送にコルゲート導波管が適していることを示唆する結果であり,本研究の目的である「ラゲールガウスビームに適した伝送路の解明」へ向けて前進していると考える.昨年度の「光渦ビームをどの様に励起すればよいのか?」という問いに対しても,位相をずらした複数の固有モードを重ね合わせることで実現できる可能性を示した.以上のように,一定の成果があり概ね順調に進んでいると言える.しかしながら,不要な高次モードが様々発生することも明らかになった.実際の運用では基本モードのみを伝送する必要があるため,不要な高次モードを打ち消す工程が必要になる.そこで,追加的な課題として「高次モードの発生を最小化するパラメータの同定」も行う.合わせて,2022年度の残された課題である「プラズマ中などの複雑空間における光渦モードとラゲールガウスビームのカップリング」についても明らかにしていく.
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り一定の成果が得られており,2023年度が最終年度ということで成果発表に重きを置きつつも,残っている3つの課題に取り組む. ・高次モードを打ち消すためのパラメータ同定 ・媒質の違いが伝播モードに及ぼす影響の解明 ・プラズマ中における光渦モードとラゲールガウスビームの関係性解明
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