研究課題/領域番号 |
20K14457
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 東京理科大学 (2021-2023) 東北大学 (2020) |
研究代表者 |
加藤 ちなみ 東京理科大学, 創域理工学部先端物理学科, 助教 (40850946)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 超新星爆発 / ニュートリノ / ニュートリノ振動 / 大質量星 / 超新星ニュートリノ / 前兆ニュートリノ / ニュートリノ集団振動 |
研究開始時の研究の概要 |
大質量星が進化の最期に起こす超新星爆発には未だに多くの未解明な点が残されている.その解明に大きく貢献するのが,大質量星の進化に強く関与するニュートリノの観測である.近年,観測技術の発展によってより詳細なニュートリノの観測が可能になり,現実的な超新星ニュートリノの理論予想が求められている.これまでの理論研究では,大質量星の進化を3つの段階に分けて個別に扱ってきた.しかし,近傍の超新星爆発であれば全段階のニュートリノを連続的に観測できる.そこで,本研究では,各段階でのニュートリノ放出の精密化を行ったうえで,全段階にわたる首尾一貫したニュートリノ光度・スペクトルの長時間計算を目標とする.
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研究実績の概要 |
本研究では大質量星がたどる①準静的進化および重力崩壊、②超新星爆発、そして③原始中性子星冷却の各段階において足りない物理を補いつつ、全ての段階から放出されるニュートリノについて矛盾なく包括的に扱うことを目的としている。 今年度は、昨年度に引き続いて②・③段階で重要となる「ニュートリノ集団振動」の基礎研究を主に行った。具体的には、物質によるニュートリノの吸収・放出反応が集団振動の非線形挙動に与える影響の調査と、衝突不安定型集団振動によるニュートリノフレーバーのスワップ現象の解明を行った。前者の研究では、結果として、初期は集団振動による不安定的なフレーバー変換により熱平衡から離脱していくのに対し、不安定が落ち着いた後期では物質による吸収・放出反応によって熱平衡状態へ戻るという進化が一貫してみられた。この一連の進化にはエネルギー依存性があり、高エネルギーであるほどより大きなフレーバー変換が起こるため、後期の物質反応を通して集団振動がない場合よりもより多くの熱を物質に与えることができることを示した。これは、爆発のダイナミクスに影響を与えうる重要な結果である。後者の研究では、ニュートリノと物質の反応によって不安定的にフレーバー変換が起こる衝突不安定型集団振動に注目した。そして、電子型と重レプトン型のニュートリノが初期状態と終状態で完全に入れ替わる「フレーバースワップ」を発見した。両型のニュートリノでは爆発のダイナミクスにおける役割が異なるため、フレーバースワップの発見は超新星爆発の理解において非常に重要である。さらに、原始中性子星内部で集団振動が起こりうるかの調査も行い、現在論文を執筆中である。 昨年度に引き続いて③段階におけるより詳細なニュートリノ放出を計算するために、原始中性子星冷却の計算コードにおけるニュートリノ輸送計算方法や対流の取り扱いについて改良を行っている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はニュートリノ集団振動の非線形挙動に関する非常に面白い現象(フレーバースワップ)が発見されたため、当初の予定を変更して本現象の誘発条件やダイナミクスの解明などに取り組んだ。予定は変更したが、本現象の解明は当初の目的である超新星爆発由来のニュートリノの取り扱いの精密化の一環であり、しっかりと同目標に向かって進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も当面はニュートリノ集団振動の非線形挙動に関する調査を行う予定である。まず、電子-ニュートリノ散乱が集団振動の非線形挙動へ与える影響の調査を行う。本反応では物質との大きなエネルギー交換があるため、吸収・放出反応と同様に非線形挙動が本大きく変更されると予想される。そこで、電子-ニュートリノ散乱が集団振動の非線形挙動に与える影響の調査を行い、爆発のダイナミクスへの影響について議論する。また、非一様なバックグラウンドにおけるニュートリノ集団振動が持つ「乱流的な性質」にも注目する。非一様なニュートリノバックグランドに対してニュートリノ集団振動を取り入れたニュートリノ輸送計算を行うと、準定常になった際に波数空間に特徴的なスペクトルが現れる。このスペクトルは乱流におけるコルモゴロフ型スペクトルと非常に似ている特徴を示しており、乱流理論における解析手法が集団振動に対しても適用可能であると考える。そこで、非一様バックグラウンドにおける集団振動の数値計算を行い、それに対して乱流解析を行うことで、非一様バックグラウンドにおける集団振動の波数スペクトル形成のメカニズムの解明や準定常状態の予想などに取り組む予定である。 その一方で、原始中性子星内部におけるニュートリノ集団振動の調査についても昨年度に引き続いて進めていく予定である。まずは、現在執筆中の原始中性子星内部における集団振動誘起の可能性に関する論文を優先して行い、その発展として対流の効果を取り入れた場合にどのようにその誘起可能性が変更されるのかを調査する。 最後に、原始中性子星冷却の数値計算コードの改良についても昨年度に引き続いて行う。
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