研究課題/領域番号 |
20K14467
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小笠原 康太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD) (30869045)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 一般相対性理論 / ブラックホール |
研究開始時の研究の概要 |
近年,連星ブラックホールからの重力波が初観測された後,電磁波観測によってブラックホールシャドウの初撮像に成功した.今後はますます詳細・精密で,多様なブラックホール観測の時代が訪れようとしている.このような時代において,ブラックホールを特徴付ける「事象の地平面」近傍における物理現象の理解が重要となるであろう. そこで本研究では,回転ブラックホールからのエネルギー引き抜き過程を研究する.ブラックホール近傍で実現される高エネルギー物理現象の駆動源としての可能性を探り,観測に対して理論的な予言を提示したい.
|
研究実績の概要 |
2019年にM87銀河中心のブラックホール候補天体がつくるシャドウが初観測された.この天体は高速回転している可能性が指摘されており,本研究対象である回転ブラックホールが有力候補である.中心天体がブラックホールであるか否かを決定するためには,ブラックホールを特徴付ける事象の地平面近傍からの情報を得られる観測可能量を見いださなければならない.そこで本研究では,先述のブラックホールシャドウに関連する,事象の地平面近傍からの脱出現象に関する考察を進めている. 光の脱出確率において,ブラックホール近傍の特徴をより正確に捉えるために「near-horizon geometry」とよばれる,地平面近傍の高い対象性を反映した解析手法を用いて,脱出確率の解析的定式化を行った.宇宙物理学的に重要となる最内安定円軌道を取り続ける粒子から放たれる光は,高速回転ブラックホールのごく近傍まで50%を超える脱出確率を示し続け,無限遠から地平面へ漸近していく軌道を取る光源から放たれた光は地平面直前まで有限の脱出確率を取ることが可能であることを示した. 回転ブラックホールからのエネルギー引き抜き過程に対するバックリアクションの定式化に関する研究も行った.帯電する球対称ブラックホールにおける電荷を持つスカラー場によるエネルギー引き抜き過程に対して,波動方程式を地平面近傍の解と無限遠方の解をある仮定のもと無矛盾に接続し,時空全域で適応可能なエネルギー運動量テンソルを計算した.これを用いてエネルギーが引き抜かれる過程おけるブラックホールの質量と電荷の変化を計算する研究も進めている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに研究が進展しているため.
|
今後の研究の推進方策 |
光の脱出確率における光源の固有運動の効果を明らかにし,観測可能量に対するより正確な理論的予言を与えていく.
|