研究課題/領域番号 |
20K14468
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
青木 勝輝 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定助教 (80822288)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 重力理論 / 宇宙論 / 量子重力理論 |
研究開始時の研究の概要 |
一般相対論は量子論と整合的でなく、その背後には量子重力理論と呼ばれるより基礎的な理論が隠れていると考えられている。本課題では高エネルギー領域においては重力場が曲率だけでなく捩率によっても記述されていると仮定し、捩率の(非)存在の兆候を初期宇宙観測から明らかにすることを目的とする。具体的には捩率は重力理論における新たな重い粒子として解釈できることを用いて、インフレーション宇宙の観測量等を具体的に評価する。重力理論における重い新粒子の痕跡が見つかれば量子重力理論およびそこから得られる有効理論の更なる理解へ向けた重要な一歩を与えることができる。
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研究実績の概要 |
一般相対論と量子論の不整合性やダークエネルギー、ダークマター、インフレーションといった宇宙論に残された数々の謎の存在は一般相対論を超えた重力理論の必要性を示唆している。本研究の大きな目的は現象論研究と理論研究の両者を相補的に用いることで宇宙を用いた重力理論の検証を行うことである。捩率は様々なスピン自由度を含むため模型のパラメータに応じて様々な現象論的帰結を持ちうる。このような重力理論の予言を系統的に検証していくためには有効場理論の手法が有用である。一方、有効場理論の理論空間のうち全ての領域がユニタリー性などの物理原理と整合的ではないことも知られている。これらを踏まえ、本研究課題では研究期間全体を通じて、具体的な模型を用いた現象論研究に加え、有効場理論の視点に基づく包括的な重力理論検証、そしてS行列のユニタリー性や解析性に関する理論研究を行った。 特に最終年度は現在査読中の論文を含め以下の成果を得た。(1)ベクトル場の「毛」をもった新たなブラックホール解を見つけた。(2)S行列の性質から暗黒物質に対する理論制限を導いた。(3)重力波を用いて軽い暗黒物質のスピンを区別する方法を提案した。(4)軽量アフィン重力理論における宇宙論摂動を定式化した。(5)ベクトル・テンソル理論におけるブラックホール摂動の有効場理論を定式化した。(6)不安定粒子のS行列に対する分散関係式を導いた。(7)宇宙論における古典観測量をS行列から計算する手法を提案した。(8)我々の定式化した宇宙論の有効場理論に基づきCMBの数値計算コードを開発した。以上らの成果は重力理論の観測による検証及び理論的妥当性を明らかにするために有用と期待される。
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