研究課題/領域番号 |
20K14499
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
田中 良樹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (00868440)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | η'中間子 / 中間子原子核 / ハドロン / QCD真空 / カイラル対称性 / 飛行時間検出器 / イオン光学系 / η′中間子 / 飛行時間測定 / ハドロン物理 |
研究開始時の研究の概要 |
ハドロンとは、クォークや反クォークから成る複合粒子であるが、その質量は構成するクォークの質量の和より2桁も大きい。この一見非自明なハドロンの質量は、強い相互作用を記述する量子色力学(QCD)の真空状態が、クォークやグルーオンの凝縮した非自明な構造を持っていることに起因していると理解されている。本研究では、η'中間子というハドロンと原子核が束縛した状態を実験的に生成し、精密分光する探索実験を、ドイツのGSI-重イオン研究所において実施する。この束縛状態の測定により、η'中間子の原子核密度中での性質変化の情報を引き出し、それによって、ハドロンの質量起源とQCD真空の構造に迫ることを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、η'中間子の原子核密度中での性質を調べることを目指し、η'中間子と原子核の束縛状態(η'中間子原子核)を探索する分光実験を行った。分光感度を先行研究よりも大幅に向上するために、12C(p,dp)反応の準排他的測定による新たな実験手法を考案し、この実現のため、大立体角のWASA検出器と高分解能スペクトロメータFRSを組み合わせた新たな実験セットアップを開発した。特に本課題では、FRSでの粒子識別システムを開発した。2022年に、ドイツGSI重イオン研究所にて2.5GeVの陽子ビームを用いて、η'中間子原子核の分光実験を実施し、予定した統計量のデータを取得することに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中間子と原子核の束縛状態の研究は、量子色力学の真空の構造とハドロンの質量の起源を探る上で重要な意味を持つ。しかし、η'中間子のような質量の比較的大きい中間子の束縛状態については、大量のバックグラウンド過程の混入により、高分解能かつ高感度での分光実験を行うことがこれまで困難であった。本研究で開発したWASA-FRS実験セットアップでは、高分解能スペクトロメータFRSと大立体角検出器WASAを組み合わせることで、高分解能測定とシグナル・バックグラウンド過程の選別を同時に行うことを可能とした。これにより、ηやη'中間子を含む様々な中間子と原子核の束縛状態を系統的に研究する道を拓くことができる。
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