研究課題/領域番号 |
20K14513
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
仏坂 健太 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50867033)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | キロノバ放射 / 重元素の起源 / 原子の禁制線データ / キロノバ 放射の解明 / 元素の起源の特定 / 中性子星合体が作る元素 / キロノバ / 重力波天文学 / 元素の起源 |
研究開始時の研究の概要 |
重力波および電磁波を用いた中性子星合体の観測は全く新しい形の天文学を開いた。特に、 rプロセス元素の崩壊によって駆動されるキロノバの研究によって、今後、太陽系に存在する 重元素の起源に大きく迫ることが期待されている。本研究課題では、キロノバが光学的に薄 くなった後期、いわゆる星雲期の温度やイオン率、さらにそこからの放射スペクトルの計算を遂行する。そのために必要となる原子構造に関係する量の計算を行う。本研究課題では、観測されるキロノバ星雲期の赤外線スペクトルか ら中性子星合体によって生成される元素の特定や組成比などの推定するための理論の構築を行う。
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研究実績の概要 |
前年度に作成したキロノバ星雲期における重元素の放射過程の計算に必要となる原子の禁制線のリストを用いて、2017年に観測されたGW170817に付随したキロノバ放射の7.5日から10.5日後のスペクトルデータを再現できるモデルの作成を行なった。具体的には、Very Large TelescopeのXshooterという観測器で取得された可視光から近赤外線領域をカバーするスペクトルには、2.1ミクロン付近に強い輝線が現れており、この輝線に関する解釈を行なった。禁制線のリストからこの輝線は原子番号52番のテルリウムの2価イオンの微細構造線である可能性が高いことを示した。観測された輝線強度とプロファイルから必要となるテルリウム原子の質量はおよそ太陽質量の0.1%程度で膨張速度が光速度の8%程度であることがわかった。この質量と膨張速度ともに中性子星合体によって生成されるエジェクタの性質と整合的であり、中性子星合体によって生成されるエジェクタの組成分布は太陽系に含まれるR過程元素の分布と無矛盾であることを示した。この結果はAstrophysical Journal Letterに投稿予定である。 キロノバ星雲期におけるイオン化状態を計算するために必要となる数値コードを開発した。具体的には、中性子過剰核のベータ崩壊によって生成される高速電子が中性子星合体エジェクタ内のイオンと自由電子と相互作用しながら減速する過程を解くことで、高速電子のエネルギースペクトルを求めることに成功した。このスペクトルの計算において、イオン化によって生成される2次電子や内核電離に付随するオージェ電子の生成も考慮した。このエネルギースペクトルと電子衝突によるイオン化の散乱断面積を組み合わせることにより、各時刻におけるイオンの電離率を求めることが可能になった。このコードを今後のキロノバ星雲期の放射モデルに実装する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重元素の禁制遷移のリストがおおむね完成し、イオン化と電子温度を仮定してキロノバ星雲期の放射スペクトルを計算し観測データと比較できるようになったことは当初の計画以上に進行していると言える。一方で、イオン化の計算の計算に必要となるイオンの再結合係数に関しては当初想定していたよりも時間がかかっており少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
イオン化の計算に必要となる再結合係数の計算を進める。
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