研究課題/領域番号 |
20K14519
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 新潟大学 (2023) 名古屋大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
金子 岳史 新潟大学, 人文社会科学系, 講師 (40838728)
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研究期間 (年度) |
2022-12-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 太陽プロミネンス・フィラメント / プラズマ乱流 / 磁気流体不安定 / 太陽物理学 / データ駆動型シミュレーション / プロミネンス / 乱流 / プラズマ / フレア / コロナ質量放出 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽コロナでは、磁場の不安定化に伴って爆発・プラズマ放出現象が発生する。これらの発生時刻や解放エネルギー量の正確な予測は、有人スペースミッションや人工衛星の運用にとって重要である。 プラズマ放出の発生源となる領域では、プロミネンスと呼ばれる低温高密度プラズマ雲が出現する。プロミネンスはコロナ磁場に支えられており、乱流状態となっている。観測では、プロミネンス噴出前に乱流強度の上昇が確認されているが、物理メカニズムは不明である。本研究では、高解像度磁気流体シミュレーションにより、コロナ磁場の不安定化プロセスにおけるプロミネンス乱流の物理的役割を解明し、太陽プラズマ放出の予測に応用可能か検討する。
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研究実績の概要 |
太陽プロミネンス噴出現象を数値シミュレーションを用いて研究している。特に、噴出前に発生する乱流状態の変化をシミュレーションにより再現し、そのメカニズムを解明することが本研究の目的である。 今年度は観測データ駆動シミュレーション手法の開発に関して大きな進展があった。本研究で実施しているシミュレーションでは、観測された太陽表面磁場の時間発展がシミュレーション内で再現される独自の手法を採用している。2021年度に本手法を考案し、査読付き論文を出版した際は、水平磁場の再現度(観測磁場とシミュレーションで再現された磁場の相関係数で評価)が60%前後、鉛直磁場の再現度は90%前後であった。昨年度米国滞在中に学んだ観測データに関する知識等を活かし、前処理やシミュレーションのアルゴリズムを再検討した結果、水平磁場の再現度が85%、鉛直磁場の再現度が95%以上まで上昇した。これにより、より現実に近いシミュレーションが可能になった。 現在までに実施した観測データ駆動シミュレーションは熱力学過程を簡略化したゼロベータ近似の磁気流体方程式を解いている。一方、低温高密プラズマであるプロミネンスを再現するためには、放射冷却と非等方非線形熱伝導といった詳細な熱力学過程を考慮しなければならない。そこで、観測データは用いないが、熱力学過程を考慮したシミュレーションも3例実施し、現在解析を進めている。また、熱力学過程を考慮した観測データ駆動シミュレーションの数値コードも開発中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーションで乱流プロミネンスと非乱流プロミネンスの噴出を再現することには成功しており、これらの結果を比較解析することで、研究の目標は達成できると考えられるため、おおむね順調とした。また、当初計画にはなかった観測データ駆動手法の導入により、さらに現実的なシミュレーションを実施できる展望もある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる来年度は、まず実施済みのシミュレーションの解析を完了させ、査読付き論文として出版する。次に、観測データ駆動手法を用いたシミュレーションも実施し、現実のプロミネンス形成・噴出イベントを再現することにより、当初の計画以上の成果を生み出す方策である。
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