研究課題
若手研究
楕円銀河の形成過程の解明は現代銀河天文学における究極的な目標の1つである。現在の我々の理解は、『およそ100億年前にあるコンパクトな大質量銀河がガスの枯渇した小質量銀河との衝突合体を経て、巨大な楕円銀河へと進化した』というところまでであり、さらに遡った歴史についてはほとんどわかっていない。本研究では、コンパクトな大質量銀河の直近の祖先だと考えられるサブミリ波銀河に着目し、世界最高性能のアルマ望遠鏡を用いて分子輝線の観測を行い、ガスの運動学的・物理的性質を明らかにする。
本研究課題では大質量銀河がどのようにして楕円銀河へと進化するのかを解き明かすため、アルマ望遠鏡を用いて遠方宇宙にある楕円銀河の祖先となるような銀河の観測を行った。観測対象は大きく分けて2種類で、赤方偏移2にある複数の大質量銀河と赤方偏移6にある1天体の大質量銀河である。異なる時代の楕円銀河の祖先において、銀河中心部のバルジを形成している過程を観測的に明らかにした。またジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げに先駆けて、銀河中の重元素量の測定に成功した。途中COVID-19によるアルマ望遠鏡の運用停止などがあったものの、研究期間を通じて筆頭著者として3本の査読論文を発表することができた。
筆頭著者として発表した3本の論文のうちの1つについては、アルマ望遠鏡のホームページでプレスリリースを行った。現在私たちの身の回りに当たり前のように存在している窒素や酸素といった元素は宇宙誕生時には存在しておらず、宇宙の歴史と共にこれらの重元素が増えてきたことを多くに人に知ってもらうことができた。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 備考 (2件)
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https://eng.hgu.jp/archives/5650.html
https://alma-telescope.jp/news/nitrogenandoxygen_202202