研究課題/領域番号 |
20K14540
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
安藤 紘基 京都産業大学, 理学部, 助教 (00706335)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 金星大気 / あかつき / 電波掩蔽 / 熱潮汐波 / 電波掩蔽観測 / 金星大気スーパーローテーション / スーパーローテーション |
研究開始時の研究の概要 |
金星科学最大の謎のうちの一つである超高速東西風「スーパーローテーション」の生成メカニズムとして、金星雲層が太陽光で加熱されて励起される熱潮汐波に伴う角運動量の鉛直輸送が提唱されている。本研究では、あかつき電波掩蔽観測と金星大気大循環モデルを用いて、スーパーローテーション生成への熱潮汐波の寄与を観測と理論の両面からアプローチする。
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研究実績の概要 |
金星大気スーパーローテーションの生成・維持メカニズムとして、鉛直伝播する熱潮汐波に伴う角運動量輸送が理論的に提唱されている。本研究では、金星探査機あかつきの電波掩蔽観測データを解析することで熱潮汐波の鉛直構造を明らかにし、それに伴う角運動量輸送量を定量することが目的である。2016年から2022年までの電波掩蔽観測データを用いて、熱潮汐波に伴う気温擾乱の地方時-高度分布を導出し、熱力学方程式と連続の式を利用して熱潮汐波に伴う東西風と鉛直流を計算した。その結果、雲層から上の角運動量輸送量は過去の理論研究と同程度であることが分かった。来年度は、測定誤差の定量と過去の理論研究との比較を徹底的に行い、それが済み次第速やかに論文にまとめて海外の科学雑誌に投稿する予定である。 一方、あかつき紫外観測で得られた雲頂高度における風速データを金星大気大循環モデルに同化して、金星極域に見られる独特な熱構造(コールドカラーと温暖極)の生成・維持メカニズムについて考察した。雲頂高度の風速分布が現実的になったことで、温度風の関係を介して雲頂周辺の気温分布も改善され、実際の観測と整合するような金星極域の熱構造が再現できた。これは、金星極域の熱構造が主に大気力学によって決まることを示唆している。この研究成果については既に海外の科学雑誌に投稿済みであり、2023年4月初旬に Journal of Geophysical Research にアクセプトされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金星大気スーパーローテーションの生成・維持メカニズムとして、鉛直伝播する熱潮汐波に伴う角運動量輸送が有力視されている。2016年から2022年に取得された金星探査機あかつきの電波掩蔽観測データを解析することで、熱潮汐波に伴う気温擾乱の地方時-高度分布を導出した。さらに、熱力学方程式と連続の式を利用して熱潮汐波に伴う東西風と鉛直流を計算し、雲層から上の角運動量輸送量を定量した。このような方法は過去に類を見ないものであり、観測結果から角運動量輸送量の高度分布を直接定量することができた。また、過去の理論研究と比較しても角運動量輸送量が同程度であった。これらは、熱潮汐波メカニズムを世界で初めて観測的に検証したことを意味する。故に、本研究課題の進捗状況は、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
角運動量輸送量を定量できたが、測定誤差の影響まで定量できていない。故に、今度の研究の方針として、角運動量輸送量の誤差を詳しく解析し、結果の妥当性を確認する。また、過去の理論研究との比較も行い、熱潮汐波メカニズムを徹底検証する。これらが済み次第、速やかに論文にまとめて海外の科学雑誌に投稿する。
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