研究課題/領域番号 |
20K14547
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 (2022) 立教大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
坂谷 尚哉 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 特任助教 (70795187)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 焼結体 / 空隙率 / 熱伝導率 / 小天体 / リュウグウ / 熱慣性 / 微惑星 / 熱進化 / 熱物性 |
研究開始時の研究の概要 |
小惑星リュウグウを探査したはやぶさ2の中間赤外カメラの観測によって、小惑星上には高空隙率の岩塊が大量に存在することが明らかになった。本研究では、小惑星母天体である微惑星の熱進化(ダストの焼結)が中途半端に進行したことによって、強度を持ちつつ高空隙率の岩石が形成されたという仮説を立て、その実証を行う。ダスト焼結体の熱物性計測実験、およびその結果を用いて様々な初期条件の微惑星の熱進化・内部構造計算を行う。これにより小惑星リュウグウの岩塊密度を作るための微惑星条件を制約し、母天体の姿に迫る。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、小惑星リュウグウ表面に存在する高空隙率岩塊と、母天体(微惑星)の熱進化の関係を明らかにすることである。そのために大きく分けて3つの作業を行う計画である。(1)高空隙率物質の熱伝導率と空隙率の関係を実験的に明らかにすること。(2)リュウグウ表面に分布する岩塊の空隙率を決定すること。(3)その空隙率分布から母天体の熱進化を制約すること。
2022年度は昨年度から所属が変更になったことに伴い、(1) のための実験装置の再構築(電気炉および真空チャンバの稼働・熱伝導率計測システムの構築)を行った。合わせて、ガラスビーズ焼結体の製作を行い、それらの熱伝導率計測に向けた準備を行った。また、真空チャンバ内の気圧をコントロールするシステムを新設し、例えば火星大気圧下など、小天体以外へもアプリケーション可能なシステムへアップグレードした。
(2) に関しては、はやぶさ2中間赤外カメラ (TIR) 低高度観測データを用いて Sakatani et al. (2021) では取り扱わなかった岩塊の温度計測を行っている。その結果、Sakatani et al. (2021) で見出した温度・熱慣性の分布からは大きな違いはないことを確認した。また、MASCOT 着陸機の着陸地点周辺の熱物性を TIR データで調査し、Ryuguの平均的な熱物性と大差はなく、リュウグウを代表する場所であることを明らかにした。加えて、海外研究者との共同研究により、TIR データの輝度校正式の再構築の必要性を議論してた。小惑星表面温度が低くなるような校正式に変更する可能性があり、その場合は TIR プロダクトのアップデートおよび岩塊温度、空隙率の更新を行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
異動に伴う実験装置の再立ち上げに時間がかかり、焼結体の熱伝導率を計測するまでに至っていない。また、本務との時間的な調整が難しかったことも遅れの原因の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
サンプルの製作は 2022年度までで完了しているため、その熱伝導率計測を進める。一方で、はやぶさ2リュウグウサンプルの熱伝導率計測が2022年度行われ、岩石の低熱伝導率の主要な原因は本研究課題で着目しているような構成粒子間の空隙ではなく、内部のクラックによるものである、という研究成果も発表されている。本研究で実施する焼結体の熱伝導率計測の科学的意義は継続的に存在するが、リュウグウへの適用という最終目標については、再検討が必要である。場合によっては小惑星ではなく彗星への適用も視野に入れる。
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