研究課題/領域番号 |
20K14548
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 立教大学 (2023) 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 (2022) 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 (2020-2021) |
研究代表者 |
林 佑 立教大学, 理学部, 助教 (00846842)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 超伝導検出器 / X線 / 金メッキ / 地球外物質分析 / 走査透過型電子顕微鏡 / X線分光分析 / X線分光検出器 / TESカロリメータ / 極低温X線検出器 / STEM / TES / 地球外物質 / 透過型電子顕微鏡 / 極低温検出器 / 超伝導遷移端型X線分光検出器 / エネルギー分散分光(EDS) |
研究開始時の研究の概要 |
太陽系形成過程の解明は、今日の地球の有機物や水がどのように来たかを解明する手がかりとなる。原始太陽系で生成され、惑星に取り込まれることなく星間空間に存在する地球外物質のみが、原始太陽系の状態や進化の過程を直接分析することを可能にする。「はやぶさ」に代表されるサンプルリターンにより、こうした重要な地球外物質の分析が可能となってきた。地球外物質は内部にサブマイクロスケールの微細構造を持ち、その分析方法の一つに高い空間分解能を持つ走査透過型電子顕微鏡とエネルギー分散型分析器(EDS)を組み合わせた、元素マッピングおよび定量分析がある。本研究では、EDSのための最新のTES型X線分光装置の開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、超伝導遷移端型X線マイクロカロリメータ(TESカロリメータ)のエネルギー帯域・分光性能を劣化させることなく、TESカロリメータの開口率・有効面積を改善し、TES-EDSを用いて地球外物質の分析を実現することを目指している。開口率と有効面積の拡大には素子数の増大とX線の吸収体の大型化が必須である。そのために、64素子だったアレイ数を224素子へ拡張した設計に吸収体サイズを120μm角から240μm角へ大型化した吸収体を搭載したTESカロリメータの開発を行った。従来の吸収体は、TES温度計よりも小さく、TESの抵抗を読み出す配線スペースなどがデットスペースとなって検出効率(開口率)が低かった。そこで、 デットスペースである配線スペースを覆うような迫り出した吸収体構造を持つマッシュルーム型吸収体を採用することで、高い開口率を実現した。マッシュルー ム型吸収体のような大型吸収体では、X線の入射位置によるX線シグナルの位置依存が出てしまうため高い熱伝導性が要求される。そこで、昨年度までに導入してきた高い熱伝導性を達成できる電析環境を用いた。この環境で、いくつかの熱伝導性のテストを行い、極低温での熱伝導性の指標となる残留抵抗比(RRR)で20程度と従来の7倍以上の改善を可能とした。これらの設計と環境を用いて、日本では初めて実際にマッシュルーム型吸収体を搭載した224素子(配線は64素子分のみ) のTESカロリメータの開発に成功した。低温での動作実証の結果、エネルギー分解能は10 eV程度と要求されているエネルギー分解能も達成しており、地球外物質分析の実現に向けて大きく前進した。
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