研究課題/領域番号 |
20K14552
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
シェリフ多田野 サム 東京大学, 大気海洋研究所, 特任助教 (00816994)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
中途終了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 数千年周期の気候変動 / 海洋深層循環 / 南大洋 / 海氷 / 気候モデル |
研究開始時の研究の概要 |
約6万から3万年前の時代には、海洋深層循環変動と関連した数千年周期の気候変動が発生した。この気候変動は全球の気候のみならず、海洋の炭素循環、生物活動、人類進化史にも多大な影響を及ぼしていた。しかし、この気候及び海洋深層循環変動の駆動メカニズムについてはわかっていない。本研究では、南極周辺の海域(南大洋)における数千年時間スケールでの穏やかな海氷変化に着目し、この海氷変化が海洋深層循環変動の周期に与える影響を定量的に評価することを目指す。そのため、将来の温暖化予測研究で用いられるような複雑で精巧な気候モデルを用い、南大洋の海氷変化が海洋深層循環に与える影響を制御する感度実験を行う。
|
研究実績の概要 |
約6万から1万年前の時代には、大西洋子午面循環(AMOC)と関連した数千年周期の気候変動の発生したことが、古環境指標から明らかになっている。この気候及びAMOC変動は、当時の海洋炭素循環、生物活動、人類進化史にも多大な影響を及ぼしていたことが示唆されている。しかしながら、この気候変動の駆動メカニズムについてはわかっていない。本研究では、複雑で精巧な気候モデルで再現された数千年周期の気候及びAMOC変動について、解析や感度実験を行うことでその駆動メカニズムを調べた。その結果、南大洋域でのゆっくりとした海氷形成プロセスが、数千年周期のAMOC変動を駆動していたことが新たにわかった。AMOCが強化した際、南半球から北半球へ海洋が熱を輸送することで、南大洋域ではゆっくりと寒冷化し、海氷形成が増加した。本研究では、この海氷形成の増加が南極底層水の沈み込みを強化し、海洋低層の密度成層を強化することで、AMOCを弱化させることを明確に突き止めた。先行研究では、これまで南大洋はAMOC変動に”反応”するのみと考えられていた。しかしながら、本研究では南大洋域での海氷変化自体がAMOC変動を駆動する負のフィードバックとして働くことを示した点が新しい。このプロセスは特に周期の長い気候変動で重要になってくることが明らかになった。これらの成果について、当時の気候の特徴を報告した論文を出版し (Sherriff-Tadano et al. 2021)、今後さらに感度実験の結果を投稿して行く予定である。また、並行して2万年前の気候やAMOCに関わる世界モデル比較プロジェクトにてAMOCの解析を主導した。その成果は、国際学会にて招待講演として発表し (Sherriff-Tadano 2020, JpGU)、国際誌に受理されている(Kageyama et al. 2021)。
|