研究課題
若手研究
冬季首都圏の大雪は甚大な社会影響を及ぼすが,その発生機構は未知が多い.本研究では首都圏の大雪・雪氷災害に「南海上からの水蒸気供給量や低気圧の雲構造が重要ではないか」という仮説を立て,高密度地上気象・降水種別観測や二重偏波レーダー観測等によるユニークな観測データセットを活用し,高解像度アンサンブルシミュレーションを行う.これによる降雪現象の正確な再現を通して稀な大雪・雪氷災害の要因を分析し,シミュレーション結果の多変量解析により各降雪現象における大気・雲・降水の役割とその共通性・特異性を明らかにすることで,仮説を検証する.これにより,首都圏に大雪・雪氷災害をもたらす降雪現象の機構解明を推進する.
本研究では「南岸低気圧による首都圏の大雪には、南海上からの水蒸気供給量や低気圧の雲構造が重要なのではないか」という仮説を立て、これを検証するためにアンサンブルシミュレーションによる解析を行った。2014年2月14~15日と2018年1月22日の事例を解析した結果、低気圧の雲構造・降水機構と水蒸気供給量、そして降雪前の大気下層気温場が首都圏の大雪に重要であることが2事例ともに示唆された。2018年1月22日の事例では、総観スケール環境場と低気圧の特性の違いから移動速度に差が生じた結果、首都圏での降水期間が変わり、大雪と大雨の違いをもたらすことを示唆する結果が得られた。
冬季首都圏の南岸低気圧による大雪は現状でも正確な予測が難しく、高精度予測のために実態解明研究が急務であった。しかし、事例数が少なく、そもそも研究が進んでいなかった。本研究では、アンサンブルシミュレーションを用いることで事例数の問題を解消し、大雪のメカニズムや、大雪と大雨を分ける条件などについて総観・メソスケールの環境場と低気圧の特性、雲・降水の構造に注目して解析を行った。ここで得られた知見は、予報現場での診断的予測技術の向上に資するだけでなく、数値予報モデルによる再現性向上にも資するため、冬季首都圏の雪氷災害の防止という意味で意義のある研究課題となった。
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