研究課題/領域番号 |
20K14558
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
|
研究機関 | 北海道大学 (2022) 国立研究開発法人理化学研究所 (2020-2021) |
研究代表者 |
本田 匠 北海道大学, 理学研究院, 特任助教 (60756857)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | データ同化 / 豪雨 / 気象レーダー / 雷 / アンサンブル予報 / 予測可能性 / ゲリラ豪雨 |
研究開始時の研究の概要 |
突発的な豪雨、いわゆる「ゲリラ豪雨」はときおり甚大な被害をもたらすため、その高精度な予測は非常に重要である。しかしながら、高精度な予測を行うために重要となるゲリラ豪雨に特有の予測可能性限界や予報誤差の成長の様相は未解明である。本研究では、豊富な計算機資源と高精度な初期値を持って初めて可能となる、格子間隔50m以下の超高解像度シミュレーションを行い、ゲリラ豪雨の予測可能性限界と降水システム内部における予報誤差の成長過程を明らかにする。本研究から得られる知見は、ゲリラ豪雨の予測・被害軽減へ向けた後発研究や防災指針へ重要な示唆を与えると期待される。
|
研究実績の概要 |
本研究は、ゲリラ豪雨をもたらすような急速に発達する積乱雲内における、数値天気予報の誤差の成長過程の解明を目的としている。予報誤差の成長を捉えるにあたって、わずかに異なる初期値からの高解像度シミュレーションを行い、シミュレーション間の差、すなわち予報誤差の様相に着目する。本研究の実施には、データ同化による高精度な初期値の準備と、それを用いた多数の高解像度シミュレーションが必要となる。
本年度は、前年度までに開発したデータ同化システムを駆使し、高解像度シミュレーションの初期値を得るための大規模なデータ同化実験の実施に注力した。まず、新たに獲得した富岳の計算資源のもと、データ同化システムを実行する環境を整備した。その後、粗い格子間隔の計算領域を用いてデータ同化実験を開始した。得られたデータを初期値および境界値とし、内部へより格子間隔の狭い計算領域を埋め込むことで気象現象のより細かい特徴を解像する。この操作を複数行うことで、最内の計算領域では格子間隔50 mへ到達する。本年度の時点では、50 m解像度の計算領域の1つ外側の計算領域まで計算を終え、50 m解像度の計算の動作確認が出来た。
上記の計算に加え、成果発表や将来の派生研究へつながる事例解析を行った。まず、開発したデータ同化システムの概要と事例解析結果を報告する論文成果を発表した。さらに、冬季の積乱雲やそれに伴う大雪事例に関しても予報誤差の成長を調査する将来研究を見据え、同じデータ同化システムを用いた大雪事例の解析を進めた。また、データ同化へ新しい数学理論を応用する可能性についても検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究に必須なデータ同化システムの改良・開発を終え、高解像度な計算領域を用いたデータ同化実験を当初の予定通りに開始することが出来た。また、開発に関する論文成果を無事に発表することが出来た(Honda et al. 2022a,b)。さらに、将来の派生研究へつながる事例解析や基礎研究にも着手できた。国内学会で精力的に成果発表を行ったが、国際学会における成果発表はコロナ禍の影響で出来なかった。
|
今後の研究の推進方策 |
高解像度な計算領域を用いたデータ同化実験を継続し、高精度な初期値を得る。このとき、データ同化時の様々な設定に関して、最適値を探す感度実験を行う。気象レーダー観測の前処理に関しても、これまでよりも高解像度なデータなため、適切な前処理を調査する。
得られた初期値をもとに、多数の高解像度シミュレーションを実施する。まず、そのままの初期値を用いたシミュレーションによって、一般的な精度の初期値から予報誤差がどのように成長するのかを調べる。その後、誤差の振幅を数桁小さくしたシミュレーションを行い、現実の天気予報システムでは実現できないほどの極小の初期値誤差の成長、すなわち現象に固有の予測可能性限界を調査する。さらに、初期値誤差を特定の変数や特定の領域を除いてゼロとした感度実験を行い、積乱雲のどの領域からどのように予報誤差が成長するのかを明らかにする。
|