研究課題/領域番号 |
20K14562
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 (2021-2022) 筑波大学 (2020) |
研究代表者 |
大澤 光 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (70839703)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | ライシメーター / トレーサー試験 / 融雪 / 浸透過程 / 側方流 / 選択流 / 積雪底面流出 / 豪雪地帯 / 積雪水量 / 間隙水圧 / 現地調査 / 融雪地すべり / 積雪 / 浸透プロセス / 水みち |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、水文および土質力学的観点から、積雪層内の水みちの選択的な移動過程が斜面変動へ及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、斜面積雪層への着色トレーサー試験や雪面上の水みちの時空間分布を明らかにするためUAVを用いた空撮をおこない、それらの結果を統合した浸透流解析で地表面到達水量の平面分布を推定し、地盤内における3次元の斜面安定解析をおこなう。本研究の成果は、未解明な点が多い積雪層における水分の再配分過程を明らかにすることから、地すべりだけでなく斜面崩壊や融雪洪水といった積雪地帯における融雪土砂災害全般の発生メカニズムへ寄与することで、防・減災へと結びつくことが期待される。
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研究実績の概要 |
新潟県内の多雪地帯の地すべり地において、一次谷の流量、地表面到達水量、雪面供給水量、すべり面近傍の間隙水圧の相互比較や積雪期のトレーサー試験より、以下のことが明らかになった。 厳冬期から融雪初期にかけて、雪面供給水量、流量および間隙水圧が反応するのに対し、地表面到達水量のみ反応が極めて小さいことから、8m^2のライシメータのサイズよりも積雪層内の選択的浸透過程のスケールが大きいことによって地表面到達水量が過小評価されていることがわかった。また、流量の上昇量と間隙水圧の上昇量は一次式で近似され、正の相関が認められた。また、流量のピークと間隙水圧のピークの間の時刻差は短かった。これは薄い不飽和土層を短時間で浸潤したのち、厚い飽和帯を圧力伝播する既往の間隙水圧の応答プロセスを支持した。また、緩斜面における積雪上にて着色トレーサー試験を実施したところ、融雪水は積雪層の勾配に沿って側方流動しながら平坦地形で一時的に滞留した後、鉛直流下して地表面に流出する様子が捉えられた。さらに、積雪が全層ざらめ雪の場合はマトリックスフローによる鉛直浸透が卓越した。しかし、薄い氷板が挟在する際には止水面となり側方流が発生した。既往の試験結果を考慮すると、融雪によって積雪が変質することにより、積雪中の水の透過過程も変化していくことがわかった。よって、地すべり地の間隙水圧変動に対して、融雪水供給の不均一性が影響することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
通年に渡る、長期水文・気象観測をおこない、順調にデータは蓄積された。一部、無積雪期において流量の計測が停止したが、積雪前に復旧をおこなった。また、3月に積雪層内の浸透過程を明らかにするため現地トレーサー試験をおこなった。以上の理由に加え、データ解析も進んでいることから、研究はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度であるため、現地観測データの蓄積を行うとともに、得られたデータの解析を進め、季節的な浸透過程の変化が地すべり地の間隙水圧変動に及ぼす影響について明らかにする。そのために、観測した地表面到達水量および流量に加えて、観測気象因子を用いた熱収支式による雪面供給水量を計算し、積雪期間(厳冬期、融雪初期、融雪中期、融雪後期)ごとにそれらの反応がどのように変化するか明らかにした上で、地下深部の間隙水圧の応答と比較する。
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