研究課題/領域番号 |
20K14572
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター (2021-2023) 広島大学 (2020) |
研究代表者 |
柿澤 翔 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, テニュアトラック研究員 (10846819)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 高温高圧 / 金属鉄 / 水素 / 鉄水素化物 / 放射線X線回折 / 中性子回折 / 地球内部 |
研究開始時の研究の概要 |
地球深部には、金属鉄や水の存在が示唆されている。地球深部に存在することが示唆されている鉄の多くが水によって鉄水素化物になっているとする仮説が提唱されている。しかし、天然での発見の困難さや観測に制約があることから、その存在や水素量の決定に至っていない。さらに、鉄水素化物の安定性・水素の最大固溶量など基礎的な情報が全く明らかになっていない状況である。このため、地球深部において鉄水素化物はどの結晶構造で存在し、どのくらいの水素量を固溶可能か明らかになっていない。本研究は、地球深部条件下における鉄水素化物の安定性や結晶構造、水素量を高温高圧その場観察実験によって解明し、その仮説の当否を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、地球深部に存在が予想されている鉄水素化物の安定性や結晶構造、取り込まれる水素量を高温高圧その場実験によって実験的に解明するものである。鉄水素化物は一気圧では水素を放出することや相対的な存在量が少ないことから天然での発見や観測が困難である。そこで本研究では、地球深部条件下における鉄水素化物の安定性や結晶構造、取り込まれる水素量を高温高圧その場実験によって実験的に検証した。 最終年度では、これまで高温高圧下における中性子回折実験で取得した六方最密構造(hcp)の鉄水素化物のデータ解析を行った。中性子回折実験によってhcp鉄水素化物中の水素は、鉄原子がつくる格子の八面体の隙間に存在することが明らかにり、純鉄との格子体積の差を表す水素誘起体積膨張は大きな温度依存性があることが明らかになった。これらのことは鉄水素化物の熱膨張率は純鉄よりも大きなことを示している。これまでの地球核の水素量のモデルでは、熱膨張率は無水素のものが使用されており従来考えられているよりも地球核の水素量は少ない可能性がある。
研究計画全体を通じて、マントル遷移層条件における鉄水素化物の安定性や結晶構造などの基本的な知見を得ることができた。放射光X線回折実験からhcp鉄水素化物は低水素量条件においてのみ存在しその温度圧力安定性は高水素条件で安定なdhcp鉄水素化物と同程度であることを見出した。また、中性子回折実験から水素は八面体位置に存在し、水素誘起体積膨張は大きな温度依存性があることが明らかになった。また、研究期間を通じて実験可能な温度圧力条件拡大を目指し技術開発を行った。これらの技術は鉄に限らず水素貯蔵合金などの研究に応用されることが期待される。
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