研究課題/領域番号 |
20K14585
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
最首 花恵 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (10738321)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | シリカ鉱物 / 熱水実験 / 析出反応速度 / 地震発生周期 / シリカ / 析出反応 |
研究開始時の研究の概要 |
地震発生周期を決定するメカニズムとして「シリカ鉱物析出反応による岩石き裂の閉塞」に着目し,地震により生成した岩石き裂中にシリカ鉱物が析出沈殿する過程で,岩石透水率の低下・間隙流体圧の上昇を経て,次の地震が発生するというサイクルを検討する。①シリカ鉱物析出反応速度式の導出を目的とした室内実験の実施と,②シリカ析出-き裂閉塞モデル(シリカ鉱物析出反応→岩石透水率の低下・間隙流体圧の上昇)の構築により,③シリカ鉱物析出反応による岩石き裂閉塞時間と地震発生周期の相関性を定量的に検証することを目指す。
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研究実績の概要 |
南海トラフやプレート沈み込み帯では,地殻流体が地震発生に重要な役割を果たすと考えられている。地震発生帯には、石英などの鉱物が岩石のき裂を埋めた「鉱物脈」が多数存在することが知られており、地震発生と鉱物脈形成の関係性を示唆するモデルも提案されているが、それらの相関の定量的な評価はほとんどなされていない。本研究では、大陸地殻の主要成分であるシリカに着目し、シリカ鉱物が岩石き裂を埋めた「石英脈」の形成と地震発生の関係性を定量評価することを目的としている。具体的には、①シリカ鉱物析出反応速度式の導出を目的とした室内実験の実施,②シリカ析出-き裂閉塞モデル(シリカ鉱物析出反応→岩石透水率の低下・間隙流体圧の上昇)の構築,③シリカ鉱物析出反応による岩石き裂閉塞時間と地震発生周期の相関性の定量的な検証、を目指す。本研究代表者等の既存研究(Saishu et al., 2017; Ujiie et al., 2018)は、宮崎県の延岡や槙峰のフィールド調査や試料分析に基づいたパラメーターを用いた石英脈形成モデルを提案し、地震発生周期と石英脈形成時間のスケール比較の土台はできている。本研究による実験データの追加や既存研究以外のフィールドでの検証事例を増やすことは、地震発生メカニズムの解明に意義がある。 今年度は、流通式実験装置の仕様変更に伴う新規の実験設計および実験環境整備や部品調達を行った。申請時の予定変更を余儀なくされたが、なお石英析出反応と地震発生の関係を検討するために重要と考えうる実験の設計をした。新規の対象フィールドやモデルの展開を検討した。特に石英脈の形成時間と地震周期のバリエーションについて、Water Rock Interaction 17にてポスター発表を行った。これは国内外の専門家との議論を通じて、次の展開に必要な情報整理および研究手法の検討を行ううえで、意義のある機会だった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時に想定していた実験ができなくなったため実験の再設計が必要であり、実験の実施が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
シリカ鉱物析出実験環境整備、天然の地殻流体を模擬したSi過飽和溶液作成のための溶解試験、石英析出反応速度を導出するための析出実験、析出速度式を用いた石英脈形成時間の計算と地震発生周期との比較検討を行う。Slow-to-Fast地震学など国内外のコミュニティに参加し、石英脈と地震に関する情報収集および各分野の研究者との議論を行う。
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