研究課題/領域番号 |
20K14588
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 東北大学 (2021-2023) 国立研究開発法人海洋研究開発機構 (2020) |
研究代表者 |
富田 史章 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (20838916)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | インバージョン / 海底測地観測 / 断層すべり推定 / 粘弾性緩和 / 巨大地震 / 沈み込み帯 / 地殻変動 / 逆計算 / 2011年東北沖地震 / 地震サイクル |
研究開始時の研究の概要 |
沈み込み帯における巨大地震サイクルに伴う断層すべりの時空間発展を高い解像度で推定することは,プレート境界における力学的特性を把握する上で極めて重要である.従来,地震サイクルの各フェーズ(地震間・地震時・地震後)で得られた地殻変動データのみを用いてそれぞれの断層すべり分布が推定されてきた.本研究では,地殻変動観測データが粘弾性緩和や間隙弾性反発といった過渡的な現象を介して過去の断層すべりに関する情報を有していることに着目し,2011年東北地方太平洋沖地震における地震間・地震時・地震後の地殻変動観測データを統合して解析することで,高解像度の断層すべりの時空間発展の推定に取り組む.
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研究成果の概要 |
沈み込み帯プレート境界での巨大地震に伴う断層すべりの時空間発展を高解像度で推定するため,Reversible-jump MCMC法による多時間窓すべり分布推定手法の開発した.開発した計算コードは従来手法と比べ,多くの利点を有することを確かめた.加えて,簡易な粘弾性グリーン関数・海陸測地観測データを用いた2011年東北沖地震に伴う断層すべり分布推定に本手法を適用した. その結果,地震時すべりは海溝近傍で南北に広く,余効すべりは宮城沖の沿岸域(10年以上)・福島沖の海溝近傍域(地震後6.5年以内に収束)に推定された.ただし,より精緻化した粘弾性グリーン関数による再検討が必要である.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
沈み込み帯のプレート境界で進行する断層すべりの時空間発展を精密にモニタリングすることは,地震を起こす歪みの蓄積・解放状態を把握する上で重要である.この推定には,断層すべりの生じている近傍(海底)での測地観測が重要であり,2011年東北沖地震以降には海底測地観測点が増設されている.しかし,東北沖地震前・地震時の海底測地観測データを増やすことはできない.本研究では,地震後の測地観測データが粘弾性緩和という時定数の長い現象によって過去の断層すべりの情報を含んでいることに着目し,その情報を引き出す新しい断層すべり推定手法を開発した.この成果は,今後の断層すべりのモニタリングに貢献できると考える.
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